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双子が離れる日 〜双子の生活43〜

2024年4月11日

「お前ら何歳になったら別々の生活になるんや?」

この問いは幾度となく我々双子に投げかけられた。
確かに双子は仲がいい。しかし実のところ、好き好んで一緒にいるわけではないのだ。

実際に幼少中は別の学校だったし、高校で一緒になったものの、大学はお互いやりたい事を優先して選んで別々になったし、兄PNRAが俺の住む東京へやってきたのも特殊な事情によるところが大きい(特殊な事情はいつか書きます)。杉並城解散してから別れずに今同じ家に住んでいるのも、仕事の都合やルームシェアによる生活費軽減の恩恵を受けるためである。

つまるところ我々は、人生で一度たりとも『一緒に生活したい』と思って過ごしたことが無いのだ。ある意味ビジネスライクな関係を貫き通している。仲がいいのは否定しないが。


閑話休題

PNRAはバイクを所有している。
俺は所有していない。
双子の大きな違いの一つである。

「こいつはちょっとでかいオモチャみたいなもんや」
という本人の談もある通り、PNRAはそこまで頻繁にバイクに乗らない。ただ徒に駐輪場料金を取られている期間の方が圧倒的に長いぐらいだ。

それでも気が乗ったらふらりとバイクを走らせどこかへ遊びに行く。今日はレアなそういう日で、山梨県をぶらぶら観光ソロツーリングしてくるという。
俺たちはビジネスライクな関係なので、それを聞いた俺も
「ふーん、行ってらっしゃい」
と言うだけ。決して
「ヤダヤダ!俺も後ろ乗って行く!!!」
なんて駄々をこねる気は毛頭ない。


モソモソ


グイグイ


「はい、彼が走り出す準備を整えるのに9分かかりました」

1泊2日、明日の夜に帰宅予定。
簡単な旅行だがほんのひととき、双子は離れ離れとなる。

俺「せいぜい死ぬなよ〜」
PNRA「……せやなぁ」

免許を取って早数年。
彼はいつまで経ってもオモチャを使いこなす自信がなかった。


PNRA「短足がバレるから止めてくれ」

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