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EVを買って良い人3つの条件とは?/アウディe-tronスポーツバック55クワトロ【試乗記】

「ぶらドラ」をスタートし、たまには車の試乗レビュー記事を織り交ぜようと考えていた。そこで過去1年で短い時間でも乗った経験のある車を思い出して洗い出したら、その数、なんと19車種。自分でも呆れるほどの数のクルマに乗っている(笑)

自分の試乗感想メモと記憶を手がかりに、これから少しずつ試乗レビューと、メーカーに忖度なしのバイヤーズガイドを書いていきます。(乗った車は、メーカー広報ではなく、ディーラーの試乗車、カーシェアリングで乗ったもの、友人の車など)

レビュワー=私のドライバーとしての立ち位置

・車の運転スキルは中の上程度。別にサーキット通いはしていないし、ドリフト走行するようなスキルの高いドライバーではない。

・サーキットは通わないが、休日は高速道路ロングドライブや箱根をそこそこのペースで走るため、街乗りよりは高次元の性能差を感じる機会はある。ただ、限界域まで追い込むわけじゃないので、自動車評論家のようなシビアな限界域での挙動はわからないし、気にしない

・車の雑誌は読み込むので、ミーハー目線で車の仕様にゆるい理解はあるが、理系的な視点での車の技術メカニズムに関心と理解はない

・基本的にスポーティーな感覚と乗り心地の良さが両立した車を好む(スポーティーだけど乗り心地を犠牲にしてハードすぎる車は好きではない)

・走行フィーリングとしてはカチッとしたドイツ車贔屓の傾向。但し、国産車という理由で国産を嫌うこともなく、そこはフラットに評価する

・車は平均的に3年に1回買い替えのペースで、大半が輸入車、そしてドイツ車多め

・高価な車は新車で買えないことも多いし、近い体験・魅力を感じる車や、中古車にまで検討範囲を広げれば、他に選択肢もあるので、経済合理性まで含めてバイヤーズガイド的に読者に提案する(但し、とにかく安く!ではない。価値あるものを、いかに賢く買うか、売るかは、しっかり考えるスタンス。高額車を楽しむうえでコスパを考える主義)

といったあたり。

車の走りとメカのマニアではなく、車に関心はあるけどマニアではない人に向けて、それぞれの車の走行性能やブランドの魅力が届くように書いていきたい。

今回の試乗レビューは、アウディのフルEV、e-tronスポーツバック。ただ、その前に、そもそもEVに向いていて、推奨できる人とはどんな人かなのか?を明確にしておきたい。

現時点でフルEV(エンジン無し)車を推奨できる人の3条件

1:自宅駐車場にEV充電設備がある人

2:一日で休憩少ない遠距離ロングドライブをしない人
(一日で400km以上走るような人は、EV充電の場所や時間を事前に計画しないと厳しい)

3:将来、車を売るときに、買い取り価格相場をシビアに気にしない人
(一般論として、EV車はバッテリーが性能低下していくことが懸念され、買い取り相場価格が同じ新車価格のエンジン車と比べると下落する車種が多い。つまり購入価格ー売却価格=実質所有コストが高くなりやすい)

上記を満たさない人は、そもそもフルEV車は推奨しにくいのが本音です。

もちろん新しい技術や新しい体験への期待感が勝ち、多少の不便やコスパの悪さ懸念を上回る人は購入を止めません(笑)

【試乗車概要】アウディe-tronスポーツバック55クワトロ

昨年末の2020年12月、代官山蔦屋書店に訪れたらたまたまアウディe-tron 試乗イベントを開催してたので思わずその場で申し込み。

EVは一度だけテスラに少しだけ乗ったことがあるけど、どうも走りと内装の質感がしっくりこず、そこまで関心を持てずにいたところ。

「テスラのように新興メーカーではなく、既存の高級車メーカーがEVつくったら、どうなるのか?」

この好奇心を満たし、実車で確認せずにはいられなかった。

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外観は特異な造形でもなく、いかにもアウディらしい高品質な塗装とデザインで、外板同士の隙間も少なく、チリ合わせもきれい。

正式な車名は「Audi e-tron Sportback 55 quattro 1st edition」で、いわゆる発売時のオプション盛り盛りの特別仕様車なハッチバック形状のモデル。お値段は13,270,000円の高額車。


ちなみに、オプションを減らしたベース車「Audi e-tron Sportback 50 quattro」は11,430,000円~、スポーツバックではないSUV形状の「Audi e-tron 50 quattro」だと9,330,000円~と、カタログ航続距離が405→335kmと減るが、価格も1000万円弱まで下がる。

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外観で唯一EVっぽさを主張するのは、このe-tronのエンブレムくらい。

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写真引用:Audi Japan公式サイトより

あとは、EV固有の装備ではないが、先進技術のひとつとしてバーチャルエクステリアミラーを採用しており、外装でミラーが小さいのは少し未来感がある。但し、せっかくデジタル化したのに横幅自体は旧来のミラー付きの仕様でもたいして変わらないらしい(笑)

【内装】いつものアウディ、いつもどおりの高品質

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車に乗り込むと、アウディに乗り慣れた人からすると、特に目新しさもないけど、いつものアウディらしい近未来的で美しいインテリア。

特にEVだから!という特別感は薄い。けど、アウディらしいいつもの品質感。(ちなみに自動車メーカーの方いわく、アウディの内装のシボ入りソフトパッドは、非常に質感が高くうまくつくられていると評価されているそうだ。確かにアウディはソフトパッドの質感が高いので、オールレザーインテリアではない車でも安っぽさを感じにくいのは美点だと思う)

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写真引用:Audi Japan公式サイトより

個人的には、アウディの内装は、造形もさることながら、メッキの輝度やプラスチックやソフトパッドのツヤを抑えめのトーンでうまく印象をコントロールされていると思う。この輝度抑えめトーンになれると、一部の他メーカーの車は、インテリアで高級さを主張しようとしすぎるあまり、メッキや色の輝度が高くて、少しうるさく感じる。

ちなみに、ぶらドラオーナーの私は、過去にA3、Q5、A6 allroad quattroとアウディを3台所有していたことがあり、基本的にアウディの走りの質感とデザインは好みでひいき目で評価しがち。

ただ、特にデザイン面は、私よりも奥さんの支持が強い。他のブランドの車に乗り換えると、常に助手席でアウディとの落差を嘆くので(苦笑)

【走り】重さを感じさせないトルク、フラットライド、クリアなステアリングフィール

実際に走りだすと、2.5トンという重さ(レンジローバー・ヴォーグやGクラス級の重さ)を出足で感じないモーターのトルクはすごく、出足でもたつく感覚はない。これはさすが0回転から最大トルクなモーターの威力。

加速してもフラットトルクでとにかくスムーズ。ただ、モーターとエンジンで音の違いはあれど、アウディのエンジンもフラットな特性が多いため、エンジン車のアウディに乗り慣れた人には違和感はない、ゼロだと思う。

よく言えば、ガソリン車からの乗り換えがスムーズ。悪く言えば、EVならではの特別な体験感は走行中の体験としては薄い。元アウディオーナーとしては「あぁ、いつも通りにアウディ」という感覚b。

車高は低くないのに、バッテリーのおかげで低重心なのかコーナーでもそこまで傾いてロールしないフラットライド。

ただ、現在のアウディの現行型のA8とA6はフラットライドのレベルは更に高く、ロール少なく乗り心地良いの新境地に達しており、アウディ同門での近い価格帯の車種間での相対評価ではやや劣る。でも、e tronも十分に高いレベル。これで乗り心地が悪いと言う人はいないと思う。

走りの感想を一言で総括すると「これまでのアウディの乗り味と何も変わらぬ、やたら音が静かなThe Audi!」となる。

これまでのアウディが好きな人には素直に推せるし、逆にこれまでのエンジン車のアウディが苦手な人には推せない。

更に具体的に言えば、アウディのステアリングの情報量が冷淡な面が苦手な人には推せない。

アウディのステアリング傾向は、よく言えば雑味がないすっきりとクリアな感触。悪く言えば、路面状況の感触を伝えてこない印象があり、若干テレビゲームの車のようなバーチャル感を伴う。

この感覚が好きな人には未来感であり、古くからの走り好きには路面情報のフィードバックが物足りないと言われ、好き嫌いが別れる。

その持ち味の良し悪しは何も変わらず。私は過去に3台アウディを所有して乗り継いだくらいなので、このステアリングフィールは許容範囲。

個人的な好みとしてアウディのステアリングは、低速はフィードバック不足だけど、超高速域でのステアリングの安定性が素晴らしくて気持ち良く、それを補う魅力があると思っている。

ただ、路面の感触云々というのは、走り好きな人の感性であって、車をブランド~デザイン重視で選ぶ人には、むしろこのすっきりしたステアリングフィールやフラットな乗り味は好まれると思います。

走り好きを自認されない方なら、何も心配することはなく、極めて素晴らしいステアリングの感触です。

先進性はわかりつつ、デジタルのバーチャルミラーはどうしても慣れない

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今回の試乗、わずか20分程度の都内巡航でしたが、どうしても慣れなかったのは、このデジタルのバーチャルミラーでした。

20分の時間では、どうしても画面に移る背景を見ても、距離感がつかめずにストレスを感じてしまい、私だったら、ここはアナログな旧来のミラーのままがいいな、と。(ちなみに1st editionでなければ、バーチャルミラーはオプションなので選ばないこともできます)

ただ、私の友人の先輩経営者で、このe-tron Sportback 55 quattro 1st editionを買った方いわく「バーチャルミラーは最初は違和感あったけど、もう慣れた」とのことなので、これは時間の問題で慣れるのかもしれません。

【買いか?】アウディ好きでEVにこだわるなら止める理由はひとつもない。

では、このe-tron Sportbackは買いなのか?

ぶらドラ バイヤーズガイド的には、「アウディ好きで、EVにこだわる人であれば、買うのを止める理由はひとつもない」が率直な答えです。

私がe-tronスポーツバックを買うか?と問われると、迷うポイントは1つあります。

それは、アウディの同価格帯のガソリン車、A6とA8のデキがあまりに良く、e-tronを上回るフラットライド~乗り味があるから、です。

ちなみにe-tronスポーツバック新車価格は、ミニマム933万円、最高1327万円から。 (オプションつければ上がっていく)

A6の新車価格は、745万円から1045万円。(ちなみにメーカー系販売店で保証体制も安心な認定中古車でも、2021年4月末現在で617万円から

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A6のavant、いわゆるワゴンは、子持ち家族が豊かな都会のライフスタイル感()を表現する車としては、これ以上ない贅沢なデザインと乗り味を持っています。車をライフスタイル表現と見る方にはおすすめですし、社内が揺れないフラットライドという視点では、最新型A6はひとつの高み、究極系といえるくらいに完成度は高いです。(家族も酔いにくいと思います)

もうひとつ、A8の新車価格は1151万円から~ですが、これまた認定中古車となると(記事執筆現在では)658万円から~となります。

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A8は形がセダンということもあり、少々ジジ臭・・じゃなかったおっさん臭いのが若い世代にはアレですが、乗ると実に良い車です。初めてアウディのフラッグシップセダンで、運転の楽しさレベルがBMW7シリーズに匹敵?と思えたくらいのデキの良さです。

アウディ同門内の競合が気になるひとは試乗比較をおすすめします。

そんな背景もあり、e-tron スポーツバックをおすすめできる人は、「アウディ好き✕EVこだわり」なのです。

実際に前述の私の知り合いでe-tronを買った方は「アウディのスポーツバックのデザインがかっこよかったし、EVという新しさを感じたかった」と言っており、買ったあとも楽しそうに乗っています。まさにドンピシャなユーザー像で、推せるのはこういう方。

ぶらドラの初レビューは、こんなところで。

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