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ダダダイアリー、主に映画。2024/2/4ー2/14

2月4日
イメフォにて、フィリップ・グナート、ミッキー・ヤミネ監督「ガザ・サーフ・クラブ」鑑賞。
天井の無い監獄ガザ地区で唯一の解放区であるビーチでサーフィンに講じる人々を追ったドキュメンタリー。2014年のガザの風景。その全てが貴重で愛おしく何一つ見逃せなくなる。そして何よりサーフィン映画として魅力的に仕上がっているのが素晴らしい。世界一のビーチはガザにある。即時停戦を。それしかない。

青山に移動。
青山ブックセンター本店にて開催の「林浩平『全身詩人、吉増剛造』出版記念 トーク&パフォーマンス「詩と身体」林浩平 vs 郷原佳以+吉増剛造」へ。
書籍を巡る解説と論考と自らの詩を燃やす剛造の映像と。届かなくて構わないデッドレター、無いけど有るかもしれない灰。色々な言葉が「今、ここ」に帰着して、自分の身体の中に火を入れて貰った感じになった。

吉増剛造さん
吉増剛造さんと

続いて109シネマズ二子玉川にて、ジョナサン・デミ監督「ストップ・メイキング・センス 4Kレストア」[IMAXレーザー]鑑賞。
ラジカセのテープがちゃんと回って音がそこから出てるのを初めて確認。観客の顔もハッキリして画面の端っこもクッキリ見えた。余りに近過ぎて何度もステージの中に入り込みそうになってフラフラ。全シーンハイライトだけどやっぱり今日もトムトムクラブが最高だった。至福。何も質問は無い。

2月5日
積雪の予報

イメフォにて、リム・カーワイ監督「すべて、至るところにある」鑑賞。
失踪した映画監督を探す主演俳優。そこで巡り合う過去作の出演者たち。バルカン半島の旅そのものが映画になる。LKW版「エブエブ」は凡ゆる解釈と余白を残したパンデミックな世界をバックパックしたスポメニックなシネマ。
上映後にはライターの相田冬二さんとリム監督によるトーク付き。言語化する必要のない作品で有る事を明瞭に言語化した相田さんの解釈が印象的なトーク。主演したアデラ・ソーさんも飛び入りで参加。雪の中来た甲斐あったな。

リム監督、アデラ・ソーさん、相田冬ニさん
アデラ・ソーさん、リム・カーワイ監督と

続いて代官山に移動。
晴れ豆にて開催の「三宅純 Talk&Listening Session」へ。
ヴィム・ヴェンダース監督短編映画
Some Body Comes Into the Light』上映と新曲デモを充てた未発表別バージョン、音楽担当したウクライナ映画のサントラ、即興演奏で飛び入り参加した新作能 [或能川] の演奏シーンなど全てがレア映像。更に新作情報やNY引越し話迄。積雪による観客との一体感と連帯感が生んだ熱いグルーヴに満ちたお宝回となった。

三宅純さんと

2月7日
シネマカリテにて、コルム・バレード監督「コット、はじまりの夏」鑑賞。
家族からも学校からも変わり者扱いされて疎外感に満ちたなコットが親戚の家に預けられるハメになるが、それはかけがえのない目覚めの夏となる。初めから終わりまで語り過ぎないシンプルな語り口。抑制の効いたエピソードの積み重ねがとにかくジワる。誰にでもお薦め出来る世界名作劇場入りの間違いのない良作。

引き続きカリテにて、マーク・ウィルキンス監督「ニューヨーク・オールド・アパートメント」鑑賞。
南米から不法滞在でNYで暮らす母と双子の息子たち。大変だけどそれなりに上手くやってた家族が美しきクロアチア女性の登場から見舞われる災難。予備知識無しで観たら思ってたのと全然違って焦った。シリアスで救いの無い展開にさせながら最後にキチンと掬い上げてみせる。登場人物や作り手たちの生きる事へのタフさが伝わる秀作ヒューマンドラマ。

新宿武蔵野館に移動
山本英監督「熱のあとに」鑑賞。
愛の定義を巡るそれぞれの解釈の実践。全員が正しいのに誰も答えを見出せない。去年のフィルメックスに続く2度目の鑑賞。シリアス故に立ち昇るユーモアとフィクショナルな設定故に垣間見えるリアルが効いたどこにも辿り着かないという飛躍が斬新な作品。やっぱり面白いよこれ。

2月9日
ユーロスペースにて、三島有紀子監督「一月の声に歓びを刻め」鑑賞。
島を舞台にした3つの物語。一生かかっても癒える事のない消せない傷。それでも小さな声をあげ歌い、その傷と向き合う覚悟を持って歓びを刻む。ワイドスクリーンを活かした美しい撮影。そこに生きる俳優たちの息吹。どのエピソードも良かったが特にカルーセル麻紀が尋常ではなく素晴らしかった。

四谷三丁目のドトールで一服した後、日本エヤークラフトサプライ本社前で行われた、イスラエルに加担するエルビットシステムズとの契約破棄を求めるデモに参加。
来週にでもまた来ようかなとか思ってたら夜にエルビットシステムズとの契約解除したとの一報が入る。やはりBDSは無駄じゃないと実感。

自宅にて黒澤明監督「蜘蛛巣城」録画鑑賞。
クライマックスの矢が飛び交う場面を何度も観てるので本編観た気になっていたシリーズ。森の中でもののけの幻を2人で同時に観るのが面白い。あと山田五十鈴のリードぶり。まあでも既視感あり過ぎて観るのが遅すぎたよなぁって感じ。

2月11日
大田ステファニー歓人「みどりいせき」読了。
ももピ、春、ラメち、グミ氏、ペニー仕かけの全粉乳。バキバキのワードがギュウギュウに詰まったオレの知らないナイスグルーヴ。無限エントロピーなワイルドサイドを駆ける愛おしきヤングガンズのアカシックレコード。言葉にまだこんな可能性があったのかとトキメキに飛ぶ一冊。

sekifu「矢川」
関雅晴が率いるバンドの結成20年めの1stアルバム。郷愁とユーモアと優しさと不思議さをキャッチーでありながら独自の言葉と音に乗せた唯一無二の矢川サウンド。サブスクでは聴けない感動と驚きのレア音源。次はいつ出るのか分からないからこれはマスト。

ユナイテッドシネマアクアシティお台場で開催中の爆音映画祭にて、ロニー・プライス監督「ビリー・ホリデイ物語」鑑賞。
ゲストセレクションによるシークレット上映。
フィラデルフィアのクラブでのステージを完全再現した様な舞台を収録した作品。まるでスクリーンの後ろに本人たちが居るような臨場感。ストップメイキングセンスばりのライブ感。これは爆音レギュラープログラムにして貰いたい。
上映後には作品をセレクトしたBialystocks菊池剛とboid樋口さんによるトーク付き。他の候補作品として「タイタニック」「ディアハンター」「E.T.」があったそうだけどこれで大正解。いつか「アイドリッシュセブン」上映と言いながら本作を上映するのが爆音映画祭の夢と言ってた樋口さん。久々に会ったら思ったよりも元気そうでホッとした。爆音やってる時とレコード聴いてる時はいつも元気なのでこれからもガンガン楽しんで上映して貰いたい。

その後は、推しダンサーのニーナ・ギャラクシーのショーを観に久々に野毛にまで行ってきたら、ショー終わりのタイミングで放送のテレ東「家、ついてってイイですか?」にニーナが家について行かれた映像がオンエアされているというギャラクシーな展開。さすが持ってるなぁ。

2月14日
BS世界のドキュメンタリー「アラファトの実像」前後編録画鑑賞。
PLO、オスロ合意、初代大統領、謎の死に至るまでの生涯を綴った2022年制作のドキュメント。イスラエルとの二国家共存の束の間の和平の実現。色々な意見があるがパレスチナ国家の為に人生を捧げた人である事は間違いないし彼の死が現在に影響してる事も間違いない。

109シネマズ二子玉川にて、三宅唱監督「夜明けのすべて」鑑賞。
登場人物全員を取りこぼさない細部への眼差し。社会への希望、映画の理想、そして人類に対しての願いが込められた静かだが決意に満ちた眼差し。その強さと優しさに何度も嗚咽しそうになった。現地点での三宅唱のすべてと言えるとてつもない作品。お見事。
原作も絶対に読もう。

で、そのあと勢いで「ストップ・メイキング・センス 4Kレストア」[IMAXレーザー]をおかわりしたが、前の方の席の酔っ払いのおっさんサラリーマン4人組の一人がずっとLINE始めたりして一緒に来た隣のオッサンも何も注意しないとか、終わったらキレようと思ったらエンドロールで逃げるように出てった。だからシネコン嫌なんだよ。デモにいっとけば良かったと後悔して帰宅。


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