見出し画像

ダダダイアリー、主に映画。 2020/9/24ー10/4

9月24日
アップリンク渋谷にて竹馬靖具監督「ふたつのシルエット」鑑賞。
7年ぶりの再会を果たしたかつての恋人たち。現在から過去へと横滑りしながらいつの間にか時が混在して同時に在る事の違和が生み出す不思議な居心地の良さ。2人の想いとふたつのシルエットが何も回収されないままJan and nomiの美しい旋律に紛れていく37分。それは短くも長くもなく丁度ピッタリとしか言いようのない幻の様なリアルな時間。忘れ難い奇妙で親密な37分だった。
それにしても足立智充の佇まいは相変わらずいいなぁ。スクリーンに居るだけで期待させてくれる何かを持ってる役者だなぁ。
そして劇場を出ると竹馬監督と足立智充の姿が。舞台挨拶などは無かったが本日が上映最終日という事で来てたみたいで直に感想伝えられて来た甲斐あったなぁ。間に合って良かった。また観たい。

画像1

画像2

9月25日
NHK「松田聖子スペシャル風に向かって歌い続けた40年」録画鑑賞。40年を40分にまとめた構成は見事だけどちょっと駆け抜け過ぎだろ。松田聖子に大した思い入れはないが、楽曲のクオリティの高さや功績を考えたら4時間は観たかったな。

画像3

クロ現「黒沢清特集」録画鑑賞。黒沢映画の光と影と風について。黒沢監督の好きなところは常に言葉がシンプルなところ。作品もそうだけど能書きが殆どない。もっとそのシンプルな言葉を発信してもらいたいなぁと思った。

画像4

そしてヒュートラ渋谷にてディアオ・イーナン監督「鵞鳥湖の夜」鑑賞。
些細な諍いが大事になり巻き込まれてその中心に囲い込まれたバッドラックな主人公と彼を連れ出す謎の水浴嬢へのグッドラックに満ちた余韻。思いの外ドンパチが多くてビクビクしたけど、全てがユニークで意外性に満ちたディアオ印炸裂のイーナンノワールにしびれた。
赤いシャツ、白い帽子、ストライプの水着。正直「薄氷の殺人」の時にはまだもの足りなさがあったグイ・ルンメイだが、今回は完全に作品を支配してリードしてて頼もしかったなぁ。ルンメイシネマと言っても過言でない活躍だった。
それで今日は良い感じの雨模様で初日に相応しい最高の鵞鳥湖の夜日和で地続き感を満喫。
そう言えば前の席に大根仁が座っててちょっとびっくりした。

画像5

画像6

その後鵞鳥湖の余韻に浸るべく用賀にあるロックバーのエピタフへ。
馴染みの常連さんと映画話。あと政治的見解が分かれる方と久々に隣り合わせになったので仕方なく話す流れになったけど、実は根本は同じ所で通じ合ってる事が分かり嬉しかった。意見が違うなら言い合えば良い。その風通しの良さに希望を見出した夜。やっぱりお酒とタバコの場は必要だよなぁ。

画像7

9月26日
池袋PARCOセールの連絡が入り久々にフレッドペリーへ。バッグを購入。持参したトートバッグの中身を詰め替えそのまま提げて帰る。

それで新宿に移動。新宿文化センターにて開催の大貫妙子コンサート「スノードロップ」へ。
当初ゲストで出演予定だった原田知世の出演キャンセルに伴う払戻により良席をゲット。ピンチヒッター佐橋佳幸の活躍も素晴らしく、コロナ対策による間隔を空けた席でゆったりと観れたし、ター坊がまたチャーミングでオールタイムベストなセトリだし初めての大貫妙子はホント最高だった。特に「snow」と「a life」が滲みたなぁ。また行きたい。

画像8

画像9

続いてシネマート新宿にてケヴィン・カースレイク監督「ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション」鑑賞。
ロックンロールを死ぬほど愛してロックンロールから死ぬほど愛されるジョーンの愛と栄光の日々を綴ったドキュメンタリー。戦争、政治、宗教、環境問題、人種差別、全てに於いてフェアで開かれた態度で接する人としても最高にカッコいいジョーンにしびれっぱなしの95分。
ロックドキュメンタリー特集「underdocs」の一つとして紹介された作品だが、これは是非とも全国公開して欲しいロックファンマストな傑作だった。

画像10

画像11

9月27日
いまおかしんじ監督「夫がツチノコに殺されました。」レンタル鑑賞。
脚本・守屋文雄とのタッグで描くユルさとワールドが炸裂の大人のメルヘン。二ノ宮隆太郎の怪演が光った。

画像12

9月29日
渋谷クラブクアトロにて開催のHairStylistics無声映画Live「吸血鬼ノスフェラトゥ」へ。
F.W.ムルナウ監督の世界最初の吸血鬼映画。ノスフェラトゥがニーナに催眠をかける時、中原昌也のノイズにより此方も催眠をかけられいったいここで何してるんだろうという、どんどん映画から離れていく感覚が楽しかった。
boidの樋口さんとも久々に会えた。

画像13

で、思いのほか無声映画ライヴが早く終わったので、そのままイメフォに移動してヨーラン・ヒューゴ・オルソン監督「あの夏」鑑賞。
ピーター・ビアード、ジョナス・メカス、ジャクリーン・ケネディ、ウォホールとその仲間たち、そしてビッグ&リトル・イディ。72年のモントークのあの夏。ただのフッテージの連なりが宝物の様にキラキラと眩しい。見た瞬間に恋に落ちる様な親密なひととき。
上映開始直前の滑り込みチケットゲットだったので前から2列目で下から見上げるあの夏となった。もっと色んな角度からまた観たい。年1とかで観たい。いつも手元に置いときたい作品だな。

画像14

画像15

9月30日
パニコス・パナイー「フィッシュ・アンド・チップスの歴史」読了。イギリスを象徴する料理F&P。その起源から遡り外来料理であるフライドフィッシュとポテトが如何に出逢いそして国民食となったのかを多面的に綴った決定版的一冊。読んでる最中に何度もなぜそんなにF&Pの事が気になるのか疑問も湧いたが、フードスタディーズの観点から近現代史を読み解く面白さもあった。

画像16

イメフォにてケリー・ライカート監督「ミークス・カットオフ」鑑賞。
新天地を探し西を目指す3家族と案内人のミーク。そこに現れるインディアン。永遠にたどり着かなそうな道行きを夫人たちの目線から描いたカラカラに渇いたハードボイルドなライカートウエスタン。これケリーの真骨頂だね。最前列で見上げながら観たのでその特異さが景色となって立ち上がった感じだな。

画像17

画像18

続けてイメフォでダミアン・マニヴェル監督「イサドラの子どもたち」鑑賞。
伝説のダンサー、イサドラ・ダンカンが遺した「母」の再現を巡る4人の女性たちの横滑りする快復と再生の3つの物語。コンテ出身のマニヴェルによる純度の高いダンス映画、と言うよりもダンスそのものな作品。もう最後は鳥肌もんで、やったなダミアンって感じの素晴らしさだった。

画像19

画像20

10月1日
グレッグ・モットーラ監督「スーパーバッド童貞ウォーズ」レンタル鑑賞。
「ブックスマート」の元ネタ的卒業パーティー大騒ぎモノでオープニングから期待させたが、バディモノかと思ったら第三の主人公マクラビンが途中から大活躍して見どころをさらってしまうし、全体の200%は下ネタで下ネタの間から物語を手繰り寄せるしんどさ。で急に良い感じのラストで感動モードになる展開は、ちょっと思ってたのと違ったなぁ。エマ・ストーンとビル・ヘイダーは良かったけど。

画像21

画像22

10月3日
「ホクサイと飯さえあれば」ドラマ版録画一気見。インドア女子の料理ドラマ。いやぁゆるかったなぁ。最終回急に主人公の闇が見えたと思ったら急にハッピーエンドになって、そんなんで良いのかと思ったけど、そんなんで良いでしょって気軽さがテレビドラマだからなぁ。飯食う時の暇つぶしにはちゃんとなったけど。

画像26

画像27

そしてスパイラルホールにてイメージフォーラムフィルムフェスティバルGFSプレゼンツプログラム。ケリー・ライカート監督「オールド・ジョイ」鑑賞。
冴えない男2人がキャンプ地目指してひたすら車を走らせる倦怠のロードムービー。友情と成長と断絶。ヨ・ラ・テンゴの音楽により完成する純度の高いアメリカについての物語。それは同時に私たちによく似た話でもある。ケリーの愛犬ルーシーの登場も嬉しい。今見るのに相応しい出しどころのタイミングばっちりな作品だった。
それにしても今回のライカート特集の人気はどうしたものか。GFSがそれだけ信頼のブランドとして定着して来たのかな。今日も知ってる人とたくさん会った。で最近やたらとニアミスしてた映画ライターの村山章氏と遭遇したのでドトールで寄り道してライカートから「眠る虫」、「スーパーバッド」、「ブックスマート」にアルプススタンドまで語り倒してきて楽しかった。
それとスパイラルホール会場でさりげなく展示されてた伊藤隆介のインスタレーションも相変わらず良かった。

画像23

画像24

画像25

村山氏と別れてあと1本位映画を観て帰りたい気分になったので、色々と検討した結果アテネフランセで一日中開催してた篠崎誠監督特集へ。最終プログラムの「ACTION!」を鑑賞。
黒沢清監督の短編映画撮影に密着したドキュメンタリーに、取り壊し直前のバウスシアターで撮影された黒沢が魅せるアクションなフィクション「Escape to nowhere」の併映付き。淡々と進行していく中で静かに熱い黒沢清を堪能。これはずっと見てられる。面白かった。
ドキュメンタリー作品「ACTION!」はまだ撮影進行中という事で完成版は多分この感じだったら5時間位になるのかもしれないが、全然イケるなぁと思い楽しみが増えた。

画像28

画像29

自宅にてNHK「SONGS/佐野元春」録画鑑賞。
「約束の橋」ニューバージョンのアレンジが素晴らしい。
「今までの君はまちがいじゃない」っていうフレーズは、そのまま佐野元春のこの40年間の歩みそのものだと思った。元春の40年こそ何一つまちがいじゃない。そしてコヨーテバンドの充実ぶりは凄い。またライヴに行きたくなったな。

画像30

画像31

10月4日
西河克己監督「若い人」録画鑑賞。
闇を抱える吉永小百合、呑気な石原裕次郎と彼を想う浅丘ルリ子。石坂洋次郎の原作読んで無いから分からないが、問題を全て放り出して自己責任に委ねる誰も救われないしょうもない青春映画だった。

画像32

みなとみらい駅にて開催の「みらいみなと」に参加。トリエンナーレ関連の急な坂スタジオによる企画。モニターブースで担当者と画面越しに架空の旅のプランを決め、仮のパスポートを発行するという流れ。ベラベラと適当な事喋ってるうちに「東北の奇祭を巡るツアー」に着地。20分あっという間だったな。

画像34

画像34

画像36

そしてみなとみらいの横浜美術館、プロット48で開催中のヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOWー光の破片をつかまえる」へ。
ラクス・メディア・コレクティヴによる今回のトリエンナーレ。時間がなくて映像系の作品は殆ど観れなくてざっくりとした鑑賞になったけど、ラヒマ・ガンボ「生きるためのレッスン」、ニルバー・ギュレシ「知られざるスポーツ」、ちょっとリンチ的な映像がたまらないレボハング・ハンイェ「ケ・サレ・テン(今もここにいる)」、クリスティーナ・ルカスのR18な映像作品「BIG BANG」なんかが良かった。でも今回はニック・ケイヴ「回転する森」に結局全部持っていかれた感がある。圧倒的過ぎたな。

画像41

画像42

画像43

画像39

画像40

画像41

画像41

画像43




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?