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ダダダイアリー、主に映画。2023/12/2ー12/15

12月2日
知人がマネージャーとして参加してる生ドーナツ&セレクトショップのレセプションパーティへ。
ヘルシーなドーナツと拘りのコーヒーとアパレルのセレクトショップを併設したオシャレスポット。南池袋公園の近くというアクセスも良い。開店祝いで素敵な上着購入。次はこれ着てドーナツを食べ行こう。

東中野へ移動。
ポレポレ東中野で開催の福間健二監督特集にて「急にたどりついてしまう」鑑賞。
詩のようなフィルム、映画のような詩。行くのか留まるのか。青春の刹那と停滞の国立ハードボイルドワンダーランド。やりたい事を詰め込んだ青さを装填しながら最新作まで通底するテーマを孕んだ初長編作。気恥ずかしさも含めて最高に面白かった。
上映後には出演者の北風太陽さん、川瀬陽太さん、制作で参加した瀬々敬久監督、サトウトシキ監督が登壇。北風太陽にメロンパンを持たせようとした瀬々監督のエピソードや京橋のテアトル銀座で公開された事など貴重な話がたくさん聞けて楽しかったな。

北風太陽さん、川瀬陽太さん、瀬々敬久監督、サトウトシキ監督
川瀬陽太さんと

徒歩で新宿に移動。
テアトル新宿で開催のOPPICTURE +フェス2023にて、塩出太志監督「NEXT LEVEL」鑑賞。
あり得ない組み合わせの擬似家族が巻き起こすあり得ないレベルのあり得ない展開のあり得ない物語。いつもの魔界エフェクトゼロな、普通の人間が1番怖いという塩出版「パラサイト」とも言えるサスペンスフルなエロブラックコメディ。
上映前の舞台挨拶には塩出監督とキャスト一同(きみと歩実/星野ゆうき/田丸大輔/矢島康美/細川佳央)が登壇。ネタバレ厳禁のボヤッとしたエピソードや見どころが良いフリになって本編の鑑賞に活かされてた。どこかでまた上映して欲しい。

塩出監督、田丸大輔さん、矢島康美さん、きみと歩実さん、星野ゆうきさん、細川佳央さん

12月4日
ユーロスペースにて、塚本晋也監督「ほかげ」鑑賞。
塚本晋也戦争3部作完結編は、戦争の後に始まる地獄PTSD。趣里と森山未來のエピソードを少年の目から炙り出す。一度ついた火は嫌な影を残し続ける。ウンザリする世界をこれ以上ウンザリさせない為に目を背けるな。「ブギウギ」とは一味違う趣里の凄みが炸裂してた。

続いて日芸映画祭「移民とわたしたち」プログラムでヤンヨンヒ監督「かぞくのくに」鑑賞。
北に渡った兄が25年振りに帰ってきたが、それは余りに束の間のひと時だった。もう何度観たか分からないけど、毎回初めて観るような気持ちで心を揺さぶられる。世界の不条理さをパーソナルな視点から照射した傑作。今日も怒り泣いた。
上映後はヤンヨンヒ監督大いに語るって感じで、作品制作の経緯やそこに至るまで、今回は日藝主催の企画上映としてセレクトされたので学生に向けて熱く語ってたのが印象的だった。
そして新作着手宣言も嬉しかった。

ヤンヨンヒ監督

映画の帰り道に渋谷ハチ公前でイスラエルへの停戦を呼びかけるデモに遭遇したので参加して来た。

帰宅後、Eテレ「SWITCHインタビュー鈴木慶一×三浦透子」録画鑑賞。
いったいどんな組み合わせなんだと思ったけど、味わい深い役者としての側面もある鈴木と歌手活動もする三浦との相性が抜群で、変化や偶然性を好むスポンティニアスな2人の共通点がスパークした良い回だった。

12月6日
渋谷PARCO3FMARCJACOBS EVENT SPACEにて開催中の裸のラリーズ詩集刊行記念 『EXHIBITION The Last One〈Poésies: Les Rallizes Dénudés〉へ。
豪華詩集が気になったので覗いて来た。確かに価格に見合う豪華な装丁の本だったけど、そこまでの思い入れがない事にふと気付いて静かに立ち去った。

そしてふらっと無機質カフェでお馴染みのカフェモノクロームへ。
今日はアイスブラックココアをいただく。ホントに真っ黒な漆黒のココアだった。ホットもあるっていうから次はホットを試してみよう。とりあえず店員さんと映画話の流れからハリウッドに蔓延るシオニズムの根深さや、ガザの危機的状況、更にKADOKAWA、チバ氏に至るまで、色々とシェア出来て精神的に落ち着けた。さすがモノクローム。有能なスタッフが揃ってるな。

Spotify O-EASTにて開催の「SNAIL MAIL JAPAN TOUR2023」へ。
USインディの若き才能リンジー・ジョーダンによるソロプロジェクト。観客のリクエストで「Wanderwall」を弾き語りしてしまうリンジーのお茶目さとクセの強さとヤンチャさが溢れたフレンドリー且つキレッキレのライブで大満足。

12月7日
久世光彦演出「風を聴く日」レンタル鑑賞。
向田邦子原作による新春ドラマシリーズ1995年作品。突然失踪した父を待つ3姉妹を中心に描く群像家族劇。田中裕子、風吹ジュン、加藤治子などの豪華キャスト揃う中、出版社に勤め自分の意見をはっきり言う次女を演じた小泉今日子の現代性溢れる存在感が際立つ作品。

久世光彦演出「終わりのない童話」レンタル鑑賞。
向田邦子新春ドラマシリーズ1998年作品。田中裕子、加藤治子、小泉今日子という出演者に時代設定やキャラが「風を聴く日」と被りまくるが、大戦直前のキナ臭さはこちらの方が強い。本作では末っ子を演じた田畑智子の存在感が光りまくってた。

ル・シネマ渋谷宮下にて、テリー・ツワイゴフ監督「ゴーストワールド」鑑賞。
イーニドとレベッカに訪れたモラトリアムな季節。2人はフラフラしながら同居の計画を練るが。オープニングから既に満点。抜群なキャストとサントラ。20年ぶり位に観たけど、当時より今の方が断然響いて最高だった。こんなに面白かったんだな。
ゾーラ・バーチとスカヨハにブシェーミとメインキャストはもちろんだけど、登場する全キャストがハマりまくった奇跡のキャスティングで、特に美術講師を演じたイリアナ・ダグラスが最高。イリアナだけでも満足出来る作品。ホント好きな俳優だ。

下北沢に移動。
leteにて開催のSPORTS MEN「静かな音楽会」へ。
世界一静かなロックバンドSPORTSMENによる久々のワンマン。静かさに磨きがかかり楽曲もより立体的になり、いよいよ唯一無二のバンドになったな。ここでやるのが初めてとは思えない会場との親和性、演奏が終わる度にお辞儀をするビートルズスタイル、新曲も全部素晴らしく待たされ続けてるニューアルバムの期待値が更に跳ね上がった。

SPORTS MEN(中村太紀さん、澤田栄一さん、豊田真之さん)と

12月9日
久世光彦演出「センセイの鞄」レンタル鑑賞。
川上弘美原作のドラマ化。高齢の元教師と歳の離れた元教え子の恋愛という展開には全く乗れないが、それを差し引いてもキョンキョンの良いところが全部出てる久世×小泉コンビの完成形。本番直前にいきなり前髪を切るコイズミさんの凄みが伝わるメイキング映像も良かった。

渋谷 7th FLOORにて開催の「yumbo「鬼火」アナログレコードリリース記念ライブ」へ。
多層的な言葉と重層的な音楽による唯一無二のバンド。澁谷浩次率いる仙台の至宝yumbo久々のワンマン。
とにかく今日は澁谷さんがガザの事に触れてパレスチナの為に演奏してくれた事が嬉しかった。こっちもそのつもりで来てたから、ホント声を上げてくれて良かった。新曲も最高だった。

澁谷浩次さんと

12月10日
柳英里紗による幻の監督デビュー作品上映会を観に行く。どうやら漫画の原作らしいが、辻褄やストーリーを無視した展開の独創的なコメディ。ラストは「次回第51話お楽しみに!」とか言って唐突に終わる。
なぜか隣に辻凪子が居て、「どうだった?」って聞くと「全然おもんなかった」と言うが、明らかに才能に嫉妬して自分もやったるという奮起が滲み出ていてニヤニヤしながら会場を見回すと空美さんと橘美緒さんが居て2人とも出演してたのことで、えっどこに出てたの?なんて話してると海月っちとかちゃんずの皆んなも集まってきて、いやぁ面白かったなぁ、なんて話して、これはメモしとこうと思ったところで目が覚めたので、すぐに寝直したが続きは見れなかった。あっ橘美緒は女子レスラーの役と言っていた。いったいどんな映画だ?

国会前のデモに行って来た。色んな知り合いにも会えたし意見を交換出来た。まだまだ出来る事はあるし足りないし拡げていかないとなと実感。でも天気良くて良かった。デモ会場付近で夢に出て来た柳さん、空美さん、海月っちと偶然会ったので、ほぼ正夢だったんだな。

その後はドトールで一服してから渋谷ハチ公前のprotestraveによるデモに参加。DJによる音源やスモークや照明など使った賑やかなデモ。国会前でスピーチされた方も多数参加してた。音に合わせたコールはテンション上がるし、駅前なので通行人や野次馬を巻き込む事が出来るのでデモの可視化としては凄く有効だと思った。

12月13日
森美術館にて開催中の「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」展へ。
環境危機に現代アートはどう向き合うのか。国内外アーティスト34名による約100点の展示で環境や文明とアートがどう対峙して来たのかを包括する。ハイレッドセンターのレア作品から現代作家の最新作まで充実のボリュームで多角的に捉えたエコロジーアート。中でもアピッチャッポン・ウィーラセタクンの映像作品「ナイト・コロニー」は、もうどこからどう見てもアピチャンと分かるワンダーの炸裂で短編映画として発表しても差し支えない内容で釘付けになった。

また同時開催MAMプロジェクト031で地主麻衣子のインスタレーション「空耳」も見たけど、短編小説を空間化した様な趣でむちゃくちゃ引き込まれて良かった。って事で気がついたら5時間滞在してた。そりゃ草臥れるな。ついでに映画館に寄る予定を断念した。

帰宅後、森谷司郎監督「日本沈没」録画鑑賞。
小松左京原作による1973年度版。導入がモタモタしてると思ったら、いしだあゆみのセクシーから一気に動き出すスペクタクル。絶望のシミュレーションとそれを超える過酷な現実。全てが終わったのにまた始まるようなラストが良いが、これはスクリーンで観ないとダメなヤツだな。

12月14日
ポレポレ東中野で開催中の福間健二監督特集にて「きのう生まれたわけじゃない」鑑賞。
いなくなった人たち、皆んな僕の中にいる。ゴロゴロ体操、オムライス、美しい詩の瞬間を残して福間は居なくなる。そしてわたしたちの中に福間が芽生え始める。助けて、大丈夫、好き。2回目となる鑑賞は完全にスクリーンの人たちと同じ空気感に包まれて紅葉の上で寝転んでいる気分で観てた。やっぱり素晴らしい作品だ。
客電点灯したらStranger館長の岡村さん@okamuratadamasa とキノコヤ店主のゆみこさん@yumiquro がすぐそばに居てびっくり。福間作品から映画、パレスチナ問題と近況話しながら途中まで一緒に帰ってきた。さすがは福間健二。人を繋げるなぁ。

渋谷に移動。散髪を済ませてベローチェで一服。

イメフォにて、八木橋努監督「他人と一緒に住むという事」鑑賞。
将来の漠然とした日々の不安と人との共生の煩わしさとパワーゲーム。その人間模様。全ての登場人物達がいちいちリアル過ぎて結果、全員の人生に共感を余儀なくされ、彼らのその後を只管見守りたくなる緻密な構成の群像劇。これは面白すぎたな。
上映後には八木橋監督と出演者の関武さんとのトーク付き。もともと監督が立ち上げ作・演出する「俺は見た」というユニットの舞台を映画化した作品だそうで、役者じゃない人を多く起用したリアルさを好む監督の誘いで本作と舞台にも出演した素人の関さんの苦労エピソードを中心に楽しいトークだった。
全出演者最高のキャラだったけど、特にソーラーパネルの社長が最高だった。「俺は見た」も観に行きたいけど、その前にもう一度これ観たい。

帰宅後、黒澤明監督「生きる」録画鑑賞。
観たつもりで実は観ていなかったシリーズ。しんみりとした作品かと思いきや、前半はスラップスティックな迄の煩いシニカルコメディで、後半は「藪の中」スタイルで主人公の謎の行動に迫る。終始鬼気迫る志村喬の表情はホラーの領域で、感動作というよりカルト臭漂う怪作に感じた。あと長い。

12月15日
マージョリー・ウォレス増補決定版「沈黙の闘い もの言わぬ双子の少女の物語」読了。
家族や社会に対して沈黙を貫き世界と対峙したジューンとジェニファーのギボンズ姉妹。なぜ彼女たちは黙り通したのか。精神医学の常識を覆す双子の行動と神秘。愛情と憎悪。その真相に迫った90年発行のものに30年後の現在の状況も追加加筆した増補決定版。
奇妙というよりも不思議な共感を持って最後まで引き込まれた。そして分かった事は、やはり黙っていると伝わる事は少ない、という当たり前の事だったりもした。
レティーシャ・ライトが主演した映画版で本作を知ったので、改めてその作品「サイレント・ツインズ」を観直したくなった。監督は「ゆれる人魚」のアグニェシュカ監督。これも面白い。

ユーロスペースにて、アキ・カウリスマキ監督「枯れ葉」鑑賞。
引退撤回をした待望の復帰作は、これまでに何度も観たことあるシーンで埋め尽くされた見事なワンパターンぶり。そのマンネリズムを徹底的にブラッシュアップして、このキナ臭い現在に愛と共にオレ流を叩き付ける。サントラも犬も過去1に素晴らしいこれぞカウリスマキと言える真骨頂炸裂な決定版。

下北沢に移動。

東京都民教会にて開催の「Still life -dip in the pool + Manami Kakudo 2023AW live」へ。
凡ゆる楽器を有機的に奏でるマルチプレイヤー角銅真実との3人編成でのライブ。教会で甲田益也子って、ここは天国なのかとずっと思いながら聴いてた。今日も尋常ではない神々しさのmiracle playで、世界に向けての祈りの様な歌声に酔いしれた。

帰宅後、ドキュメント72時間「東京郊外 24時間営業の中華料理店」録画鑑賞。
凡ゆる職業、凡ゆる年齢、性別、凡ゆる事情を抱えた人々が入れ違いに集う。テーブルの前では全員が平等であるかの様な店の開けた佇まい。24時間営業の中華屋なんてホント無敵すぎるオアシスだよな。面白かった。


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