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「英気を養う」ことの意味

 長期休暇前に上司などから言われる言葉のTOP3にはランクインするであろう「英気を養おう」というセリフ。とりあえず言っておくタイプの言葉だと思って、これまであまり気にかけてこなかったが、実は結構重要な要素なのではないか、と最近思う。

そもそも「英気を養う」とは?
 一つ一つの単語の意味をまともに調べることは少ないだろう。文脈から単語の意味を予測すればある程度は話が通じるからだ。しかし、今回慣用句を論じるにあたって、辞書的な定義を知っておかないと議論があまり意味をなさないので、愚直に辞書を引いてみる。新明解国語辞典7版によれば、「能力が十分発揮出来るように、事に備えて休養を取る」という意味だそうだ。ただ休養を取るという意味ではなく、「能力が十分に発揮出来る」ことが目的として掲げられている。これは特徴的な意味合いに思える。

英気 ≒ 元気 + 好奇心
 もう一度「英気」の定義に戻ろう。多くの辞典でも定義にはっきりとした差異は見られないため、ここでは前述の新明解国辞典7版の定義(「能力が十分に発揮出来るように休養を取る」)をもとにする。まず、休養を取るということは、その先にあるのは活力がみなぎっている状態、すなわち「元気」なことだ。「英気」の要件として入りそうだ。ただ、「英気」≒「元気」であると言うのは難しそうだ。「元気」は「英気」の「気」の部分を主に説明しているに過ぎない。「英」は、熟語として「英才」「英断」等があるように、「すぐれている」という意味を持つ。これを言い換えるのは難しいが、私は「好奇心」という言葉を当ててみたい。「能力を十分に発揮する」ために必要なものはたくさんあると思うけれど、対象に対してもっと深く知ろうと思う姿勢こそが出発点のように思うのだ。
 以上を踏まえて私が「英気」を定義するならば、「元気」と「好奇心」の調和であると思う。

私なりの英気を養う方法
 人それぞれ英気の養い方はたくさんあるだろう。ここでは先程の公式「英気 ≒ 元気 + 好奇心」に従って、私の英気の養い方を整理してみる。
 まず、日常的な習慣から振り返る。元気になるための秘訣はよく休むこと、中でも十分で深い睡眠だ。何かしらの活動に取り組むことは楽しいことであっても、少なからず心身を疲弊させる。ぐっすり寝れた時の爽快感は何者にも代えがたい。
 一方で好奇心を旺盛にするための秘訣は、常日頃から新たな心象風景に触れることだ。毎食のメニューにこだわって新しい食材や調理法を試し、論文を読んで科学的な知識や方法論を習得し、小説・映画・音楽を鑑賞して新たな刺激を受け取る。
 少し視点を変えてみて、非日常的な習慣を考えてみると、旅行が真っ先に思いつく。お金や時間の制約があるから、頻繁に遠出することは難しい。それでも不慣れな公共交通機関を使いながら、見たこともない景色を目の当たりして、新鮮な体験を実践するのは、身体よりもむしろ心が元気になり、もっとその土地のことを知ってみようという好奇心にも繋がる。
 私はこの組み合わせで常に英気を養えているように思う。もし英気が足りていないな、と思ったら、この note を振り返ってみたい。

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