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BUoY地下スペースと空間の音響の話

BUoYで地下スペースの音響機材管理スタッフをしている増田です。
普段は作曲やサウンドデザイン、録音などの仕事をしています。(web
今回はBUoY noteの連載として、BUoY地下スペースの空間音響は、場所や用途によってかなり色々変化すると思ってることについてお話します。

BUoY(地下)について

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俯瞰図。場所によって微妙に天井高や材質が違う

BUoYのある建物は1964年に建てられたと聞いています。最近リノベーションとかでぶち抜いたりして活用されるケースが多い年代の建築のようにも思います。

地下スペースはコンクリートむき出しの廃墟で、おまけに空間の端っこの方に、昔使われていたらしいお風呂場も一部残っています。音が反射しやすい材質で作られているので、基本的には大きな音を出すと空間が響くようになってます。
廃墟そのままだったらおそらくゥワンゥワン響いてしまうところだと思うのですが、自分がスタッフとして参加した時には天井に大量の吸音材が設置されていて、程よい感じの響きになっていました。

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天井左側の黒いのが吸音材。ありがとう

地下だけあって、平日の夕方以降や土日は非常に静かです。
不定期で配管からチョロチョロと水が流れる音が聴こえてきます。

喋りの声の聴こえ方

BUoYで撮った絶叫を聴いてみてください。

かなり空間に響いているのがわかると思います。
これは先日、美術家の大岩雄典さんの作品(*1)の一部の撮影の際に録音したもので、2人の話者から3mほど離れたところからマイクで集音したものです。

動画では役者の胸元に付けたピンマイクの音を使っているので、聴こえる音も全然違う感じになります。ちなみにこのピンクの服の人が立っているところの下には、更に地下につながるマンホールがあったりします。

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話者とマイクの位置は青色の感じ

音楽やパフォーマンスの場合

こちらの音源は、声を使った表現をする田上碧さんの作品の録音音源です。
録音で参加させてもらいました。(詳しい作品情報はこちら

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録音のセッティング

お風呂場をバックにしてるのもあって、大きな音が鳴った時に一気に空間が広がる印象があります。その反面、響かない音になる瞬間もあって(ここらへんは空間というより、田上さんのようなパフォーマーの人たちの技量な気もしますが)、いろいろな響きが楽しめます。

まとめ

BUoY(地下)はパフォーマーのいる場所やマイクを置いた場所によって音の響きがかなり変わる(変わってしまう)のが特徴なので、それゆえ演劇やパフォーマンスなどで利用される際に面白い空間性に付随した音響的な効果として活用されることが多い印象があります。
個人的にはパフォーマンス、演劇、音楽などの公演やMVの収録などの視覚的な表現がメインの使い方だけでなく、録音場所として、音に注目した視点からこの空間が活用されると、更に面白いんじゃないかなと思っています。

使ってみたい、見学したい、という方はお気軽にお尋ねください。
毎週木曜日から日曜日は2Fでカフェも営業していて、美味しいコーヒーとお菓子がいただけます。

ご覧いただきありがとうございました。
次回は11/8 に更新されます。


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(*1)OPEN SIITE 5
大岩雄典 個展「バカンス」
11.21-12.20
トーキョーアーツアンドスペース本郷

漫才:キヨスヨネスク、矢野昌幸
撮影:屋上
録音:増田義基
会場:BUoY

(*2)田上碧によるソロパフォーマンス
《触角が無限にのびる虫》全編
2020年8月21日、北千住BUoYにて収録

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