文徒インフォメーション Vol.58

Index------------------------------------------------------
1)【Book】講談社本田靖春ノンフィクション賞候補作「命のクルーズ」の刊行日は?
2)【Publisher】毎日新聞「読書世論調査」終了は貴重な蓄積の損失だ
3)【Advertising】博報堂DY、国連のキャンペーンにボランティア参加
4)【Digital】小学館、「音声Profect」でオーディオブックに本格参入
5)【Magazine】オレンジページとレタスクラブの違いは?
6)【Marketing】「CanCamナイトプール」が3年ぶりに帰ってきた
7)【Comic】小学館とバンダイは縦スクロール漫画制作リアリティショーを配信する
8)【TV, Radio, Movie, Music & More】THE MATCHのPPV視聴者50万人は「おそらく日本格闘技史上最多」
9)【Journalism】読売新聞記者、札幌の万引きの前に知床でも万引き
10)【Person】吉本ばななが「下町の論理」を学んだ千駄木の「実家」を訪れた
11)【Bookstore】金松堂書店は文教堂が赤坂に進出しなかったら閉店しなかったのでは?
----------------------------------------2022.6.20-6.24 Shuppanjin

1)【Book】講談社本田靖春ノンフィクション賞候補作「命のクルーズ」の刊行日は?

◎講談社本田靖春ノンフィクション賞の候補作を知らせるリリースには「命のクルーズ」の刊行日は2022 年 3 月 31 日となっているが、例えば電子書籍版で「命のクルーズ」を購入すると2022年4月1日となっている。もっとも奥付の前に「本作品は、二〇二二年三月、小社より単行本として刊行されたものを電子書籍化したものです。」という一文をわざわざ挿入している。
もちろん、こうしたケースは商業出版の世界ではなくはないのだろう。しかし、私はもちろんのこと、他社の編集者からしてみれば、講談社本田靖春ノンフィクション賞の候補作として正当性をわざわざアピールしているようにしか見えないのである。。こうした手口はアベ政治に極めて似たものであるという評価も出版界からはさすがに出始めているようである。「命のクルーズ」の担当編集者は浅川継人。何の疑問も感じないのだろうか。
https://www.amazon.co.jp/%E5%91%BD%E3%81%AE%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%BA-%E9%AB%98%E6%A2%A8%E3%82%86%E3%81%8D%E5%AD%90-ebook/dp/B09WMQG1RM

◎毎日新聞の6月21日付「メディア万華鏡 『朝日新聞政治部』その“ゴーマンさ”につける薬は?」で山田道子は次のように書いている。
《毎日新聞の政治部で仕事をした私からすると、朝日新聞の記者は「本流意識」が強い。我こそは、新聞界の「雄」というわけだ。だから「日本の報道界を支えてきた」などとさらりと書けるのだろう。退社後も抜けきらない「本流意識」を感じてしまった。
読後、気づいた。本に登場する朝日新聞の主要プレーヤー、指導的地位にある人が全員男性なのだ。その徹底した男社会ぶりが「傲慢」を招き、「役所以上に内向きで足を引っ張り合う」体質を育て、世間から背を向けられたのではないか。》
鮫島浩のジャーナリストとしての「古さ」をものの見事に指摘する山田は、こうも書く。
《朝日新聞は20年4月、「ジェンダー平等宣言」を発表した。紙面や組織の平等を進めるという。今年5月に朝日新聞デジタルで中村史郎社長が宣言2年目の報告をしている。管理職・専門職に占める女性の割合はいまだ14・2%。「長年『男社会』とされてきたメディアの変革は待ったなし。私たちは、その先頭に立ちたい」と中村社長は誓う。
こんな「本流意識」は大歓迎だ。》
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20220617/biz/00m/020/003000c

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デイリー・メールマガジン「文徒」はマスコミ・広告業界の契約法人にクローズドで配信されている。2013年より月〜金のデイリーで発行し続けており、2021年6月で通巻2000号を数えた。出版業界人の間ではスピーチのネタとして用いられることが多く、あまりにも多くの出版人が本誌を引用するせいで「業界全体が〝イマイ社長〟になっちゃったね」などと噂されることも。

マスコミ・広告業界の契約法人に配信されているクローズドなデイリーメールマガジン「文徒」をオープン化する試み。配信されるメールのうち、出版・…

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