オーセンティックでカジュアルで汚いルックスで懐かしいモノ~KENZOのシャツを着ている理由~
連休中の小話です。僕は野菜直売所の売り子をやっているわけなのですが、昨年からマスクをするようになって派手な服飾で野菜を売るようになりました。
オープン当初はシックな色調な服を着ていた
理由は、農家さんが育てた野菜そのものの色の美しさを楽しんでいただきたいからです。ところが僕がマスクをするようになって常連のおじいちゃんおばあちゃん達が、僕を僕と認識してくれないことが増えてきたのです。これはヤバいと思って、遠くからでも一目でわかる格好をするようにしました。今でも髪の毛の色をスライムグリーンにしようかと迷っているくらいです。
KENZOのシャツ
というわけで、KENZOのシャツを買いました。古着です。オーセンティックでカジュアルで汚いルックス(貴族的な美しさを持っていないという意味)と言えば、そうです。で、僕はKENZOの服を着たことがありませんでした。しかしながら、高田賢三氏が新型コロナで逝去されて何かこう、着ていたいなと思ってしまったのです。
古着に塗れていた高校時代
高校の頃は、綺麗な、それこそ貴族的なファッションをするモノもいれば、古着を好むものもいたり。僕は古着屋回りなどもよくしていました。社会人になってからは、服なんてどうでもいいやと思っていたのですが、ある年齢から仕事柄、それなりの服を着るようになりました。実際、北海道に来て、服は相当フリマアプリで販売しました。中には驚くような値段で売れたものもあります。
おしゃれな割烹着風の上着を着たおばあちゃんが…
さて、連休中の小話です。僕を見て、突然…
っていうじゃありませんか!僕の自慢の一つに【ルックスをほめられたことがない】…つまりは【かっこいい!】って言われたことがないというものがあります。あだ名は「泥人形」とか「火傷した犬」などひどいものです。なので、「かっこいい!」って言われた時は、おおお!と驚いたわけなのですが…
そう、シャツのことを褒めてくれたんですよね。そのおばあちゃんは一見すると田舎のおばあちゃんって感じなのですが、自分の年齢に合わせたファッションを楽しまれているようで、その姿は、オーセンティックでカジュアルで、汚いルックス(貴族的な美しさがないモノ)でした。とてもオシャレで格好良かったです。
オーセンティックでカジュアルで美しくないもの
って、僕個人的にはすごくよくわかるんですよね。下のリンクは英字ですがパッケージデザインを見て、ちょっとドキっとするとともに何故か懐かしい感じがします。
で、今僕たちの店舗では、極力オーセンティックでカジュアルで美しくないもの(貴族的でないもの)を揃えるようにしています。ハンドメイド品を出品されている方にも、何とかこの感覚をうまく伝えられるようにとコミュニケーションをとっています。
そしたら、すぐにつくってきた!
そしたら、ある方がすぐに作ってきました。そのスピード感に感動してしまいました。すると、やはりサッと売れていきました。
フリーマーケットの運営の仕事とは?
僕たちのお店では「旬を逃さず面白い方へ」というのを行動指針にしています。なので【旬】を出店者さんに如何に的確に伝えるかというのは、とても大事な仕事です。ハンドメイド品や雑貨などは、そりゃそうだろう…と思われるかもしれません。しかしながら、野菜も同じなのです。
野菜もオーセンティックでカジュアルで美しくないモノ
の方が売れ行きがいいのです。簡単に言うとまっすぐに伸びたキュウリより曲がったキュウリの方が売れるということです。同価格でも…です。
どちらを選びますか?もちろん真っすぐでなければいけないというケースもあるでしょうが…野菜の価値は生産者と鮮度で決まる。となれば、曲がったキュウリの方を選ぶことでしょう。
データ×AIはどう判断するでしょうか
朝採れのキュウリと2日前に収穫されたキュウリを、データ×AIが価格決定する場合、どちらにいくらの値段をつけるでしょうか?データ×AIが、オーセンティックでカジュアルで、美しくないものが今のトレンドだと判断する日は、一体何年後でしょうか?もちろんトレンドは変わります。短期トレンド、中期トレンド、長期トレンド、超長期トレンド(サステナビリティやSDGs的なもの)です。いずれにせよ、超長期的トレンドから外れているものは消滅していくことでしょう。ガソリン車の普及により、蒸気自動車が消滅したように。或いはスマートフォンの普及により、固定電話等が消滅していくように。小売業のクリエイティビティってなさそうに見えて、結構あるなぁと感じる今日この頃です。
したっけ、また。
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