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侮れぬ 冷凍茹で麺 50年

冷凍うどんは、なぜあんなにおいしいのだろう。
いつも変わらぬ絶妙なもちもち感を味わうたび、冷凍うどんを初めて食べたあの時のことを思い出す。

中学生の頃だっただろうか。
お母さんが仕事を始めて、休日のお昼ご飯を一人で食べることが増えたのは。
いつもつくってくれていたから、急に自分でつくれと言われても無理。だからパンやカップラーメン、冷凍食品を探して、お腹を満たしていた。

あるとき、冷凍庫をガサガサとあさっていたら、冷凍してあるうどんを見つけた。ちょうど、冷たい麺類を食べたい気分だった。

パッケージを見てみると、レンジで3分チンすれば食べられるという。茹でなくてもいいとは、なんて楽なのだろう。

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一かたまり取り出して、お皿にも乗せず、透明な袋ごとレンジに入れる。見守っているとだんだんぷくーっと膨れてきて、破裂しないかドキドキし始めるタイミングで、ちょうどよく「ピッピッピ」と鳴る。

合図と同時にレンジの扉を開けると、風船の空気が抜けていくように、きゅーっと袋がしぼむ。
しわくちゃになったビニールをつまみ、湯気でアチチチチっと言いながら、うどんをザルにあける。
氷水で冷やし、上にちぎった海苔をパラパラとかける。
つゆは市販のめんつゆをちょっと濃いめに薄めて、氷がわりの冷凍小ネギを。

こうして、いつもお母さんが出してくれていたざるうどんの形を、初めて自分で再現したのだった。

これがまた、うまい。

たかが冷凍、のびきった麺を想像して食べたら、私好みのもちもち感がちゃんとある。
ハイクオリティな冷凍うどんは、「この絶妙な食感を生み出せるなんて、私センスあるかもしれない」とまで思わせた。

仕事から帰ってきたお母さんに、「冷凍うどんっておいしいね!!! 」とわざわざ報告したくらいだ。

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冷凍麺には「冷凍生麺」「冷凍茹で麺」「冷凍調理済み麺」などの種類があるけれど、私が愛するのは簡単でアレンジがきく「冷凍茹で麺」のうどん。1970年代から登場し始めたこの冷凍茹で麺文化には、感謝状を送りたい。

今でも蒸し暑くて料理すらしたくない日は、冷凍うどんのお世話になる。
チンしてぷくーっと膨れて、アチチチチっとザルにあける。
ひとすすりして、冷凍うどんは今日も、私にセンスを感じさせてくれる。

これでおいしいものを食べます🍴 ありがとうございます!