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神様から試されたみたいな一日

わたしは感情が揺れ動きやすく、どちらかというとネガティブ方向に傾きやすい人間である。

ちょっとしたことでイラっとして、頭が怒りでいっぱいになる。

その後は我慢してひとりモヤモヤするか、相手にぶつけてケンカになってしまうパターンのどちらかになることがほとんどだった。

いずれのパターンもあまり効果的ではなくて、さらにイライラが増幅してしまう。

その結果、数日ネガティブな気持ちで過ごしたことも二度や三度ではない。


今日もちょっとしたことで夫とケンカしたのだが、最近学んだことのおかげで、いつもとは違う結果をたどることができた。

そのことについて、分析してみようと思う。


【事の顛末】

朝、夫から「弁当を忘れた」という連絡があった。たしかに家にある。

わたしは今日の13時から仕事があり、夫の職場はわたしの仕事場までの途中にあるため、気軽な気持ちで届けることにした。

夫は、昼休み(12:00〜13:00)の前でも受け取れると言う。余裕を持って仕事場につきたかったので、早めに届けることにした。

11:30ごろ、夫の職場の最寄駅に着いたので、連絡する。しかし、全く反応がない。LINEを何回入れても、電話をかけてもダメ。

とりあえず落ち着こうと、コンビニでコーヒーを買って公園でぼんやりしながら待つ。

12時過ぎに電話をかけたらやっと繋がった。

夫曰く、「忘れてた」とのこと。公園でぼんやりしたおかげで少し冷静になっていたが、全部吹っ飛んだ。瞬間湯沸かし器のように頭に血が上った。

文句を言ったら、「普通に入ってくればよかったじゃん」の一言。あまりに想定外の答えに、絶句する。

怒りや悲しみで感情で頭がいっぱいになって、その場で少し泣いてしまった。夫はその様子を見て、さすがに悪いと思ったらしい。

みるみる落ち込んで、今度は自分を責め始めた。

私の仕事の時間が迫っていたので、ひとまずそのまま別れた。


【私の中に湧き起こった感情】

「昼前でもいいって言ったじゃん…」とイライラ。

仕事場に早めに行ってやりたいこともあるのに、予定が狂ってしまう。

パソコンを持ち歩いてるから、荷物が重い。肩が痛い。辛い。なんでこんな思いしなきゃいけないの?

こんなことなら、届けるなんて言わなければよかったと後悔。

大体、頼んだのはそっちじゃん…忘れるとかありえないでしょ。それで「入ってくればいいじゃん」とか、責任転嫁?30分も待たせておいて、その態度は何なの?

ひどすぎる。善意でやったことが否定されて、悲しい。自分が軽く見られてる感じもする。

夫が自分を責めているのを見ると、自分が悪いことをしたように感じる。間接的に責められているみたい。


【いつもと違ったその後】

これまでの私だったら、この後もモヤモヤを引きずって最悪のコンディションで仕事をすることになっていただろう。

でも、講座や受講生徒の交流の中でこういうときの対処法を学んでいたので、せっかくだから実践してみることにした。

やってみたことは次のとおり。

1.自分の感情を受け止める。ありのままの自分の感情の姿を認識する

まずは、上に書いたような感情が生まれたことを認識する。今回の場合は、スマホのメモ帳に書いてみた。

文字として外に出すと、ぐちゃぐちゃした気持ちが少しずつ整理されて、頭の中に少し余裕ができる。


2.その感情を持っている自分に対して、とことん優しい言葉をかける

ネガティブな感情を持つとしんどい。

だからこそ、その感情を見ないようにしたり、押し殺そうとしたりしがちである。

でも、そうすると逆にそれが増幅したり、心の中にざらざらとのこってしまったりする。

そこで、あえてその感情の存在を認める。その感情を認めた上で、とことん自分に優しい言葉をかけてみる。

今日のわたしの場合だと、

「相手が喜ぶと思って届けたのに、感謝の気持ちより文句言われて悲しかったよね。悲しくなって当然だよ。

30分も待たされたらイライラするし、文句言っちゃっても仕方ないよ。そりゃー感情的にもなるよ。しょうがない。

夫も、仕事忙しくて頭いっぱいになっちゃってるから、忘れちゃったんだと思うよ。

わたしのこと大事にしてないとかじゃないよ。反省してたじゃん。」

みたいな感じ。

落ち込む親友を慰めるイメージで、とことん優しい言葉をかける。

そうすることで、「そうなのよ!わかってくれてありがとう!」という気持ちや安心感が湧き上がってくる。

しんどいとき、誰かに共感してもらえると気持ちが楽になる。それと同じ効果を、自分の中だけでも得ることができる。

ここまで来ると、だいぶ気持ちが落ち着いて冷静に考えられるようになっている。

ちなみに、このように「自分に対して思いやりの心を持ち、優しい言葉をかけること」を、セルフコンパッションと呼ぶのだそう。


3.「じゃあどうしたらいい?」を考える

冷静に考えられるようになったら、自分の「目的」を思い出し、それを実現するにはどうしたらいい?を考える。

わたしの場合だと、「夫と仲良くしていたい。お互いに思いやりを持って、相手に対して笑顔を向けられる関係でいたい。」が目的。

では、いまそのためにはどんな行動をとれる?

実際にわたしがとった行動は、ひとつは自分の感情(わたしがどう感じたか)を伝えること

もうひとつは、この出来事の良い側面を考えて、相手に伝えることだった。

後者は、一緒に講座を受けている人から教えてもらった言葉が頭をよぎったからできたことだった。

“Look at bright side.” 「いい側面を見よう」

いつもポジティブな視点をくれる彼女が教えてくれたその言葉は、その瞬間からわたしの頭にずっと残っていた。


ケンカしちゃったけど、お互いの認識のあり方の違いを話し合えて、相手のことをより深く知ることができた。

何かあったとき、職場に直接行ってもいいのだとわかった。

今日みたいにならないための対策を考えることができた。


そうやって良い面を見つけようとしていったら、どんどん自分の気持ちが軽く、前向きになるのがわかった。

その気持ちのまま夫にLINEを送ったら、「せっかく持ってきてくれたのに、ケチつけてごめんね」と、謝ってくれた。


(※ちなみに、夫がわたしにケチをつけるようなことを言ったことも、心理学的に説明が可能。

人は「人より優れていたい」「認められたい」という気持ちが本能的にあり、そのために「自分が頑張る」または「人を下げる」という行動をとる。

今回のケースでは、夫は「自分が悪いと認めると、自分を下げることになってしまう!」と本能的に察知し、あのような言動をとったものと思われる。)


【その結果どうなったか】

そんなこんなで、仕事場に着く前にかなり気持ちを立て直すことができ、晴れやかな気持ちで仕事をすることができた。

帰宅すると、夫の表情は晴れやかで、謝ってくれた後、夕飯まで作ってくれた。

これまでのケンカとはまったく違う結末が待っていた。

自分の受け止め方、感情の取り扱い方、見方を変えるだけで、こんなにも結果が違うなんて。


まるで神様が、「ちゃんと学んだことが身についているかな?」と試験を出したかのようだと思った。



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