見出し画像

【今日コレ受けvol.002】風景という至福

毎朝7時に更新、24時間限定のショートエッセイCORECOLOR編集長「さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書く「遊び」を集めたマガジン【今日コレ受け】に参加しています。

煮詰まると、旅行サイトをザッピングするクセがある。
「ああ、もう書きたくない。仕事したくない~」
となったとき。完全に逃避だ。

そんな私にちょうどよく? こだわらなければ、そして運良くキャンペーン中なら、悪くないホテルに安く泊まれるプランを見つけられる。

旅に出るときはたいてい、旅好きの姉と友人、私、息子の4人。この4人の何がいいかと言うと、「予定を決めすぎない」ところだ。

みんな、その日の気分で行きたいところに行き、食べたいものを食べる。やりたいことがてんでバラバラで、2班に分かれることもしょっちゅうである。

10歳の息子は最も出不精で、「ホテルでゆったり過ごす」ことを生きがいにしている。「きれいな景色を眺めながら、ゲームやYou Tubeを楽しむのが一番だよ」とうそぶき、チェックイン時間ぴったりにホテルに到着せよ、などと言ってくる。

でも考えてみれば私も、ホテルでぼーっとしている時間が一番好きかも…。

と、ここまで考えて、夏に泊まった沖縄のホテルで、それを超える楽しみを見つけたのを思い出した。そのホテルは最上階が「お楽しみ部屋」といった空間になっていて、宿泊者は備え付けられたダーツやビリヤード、ボードゲームで遊んだり、フリードリンクでコーヒーやお酒も飲める。Free Wi-Fi付きなので、仕事をしてもいい。

そして、窓の外には一面に海が広がっていた。

滞在中、そこでダーツもビリヤードも原稿も試したが、いずれも頭からシューッと湯気のようにストレスが抜けていく感覚があった。

息子も同じだったのか、ずっと「お楽しみ部屋に行きたい」と入り浸り、最終日はダーツのしすぎで肩が上がらなくなったくらいだ。ほかにも、真っ青な海を目の前にしながら、日中も「お楽しみ部屋」に留まって楽しむご家族が少なくなかった。

あの心地良さの源は、窓の外の海にあった気がする。人間の脳は、「何をしているか」よりも、視覚からの情報に左右されるのもしれない。そして、その風景の中に身をおくよりも、「良い景色を見ながら、快適な室内で何かをする」のが至福なのかも?

いやいや。これはあくまで、面倒くさがりやの私の主観だろう。だが、自分の至福を発見した私には、「海の近くに住んでみたい」という思いがムクムクと湧いてきた。

そこなら、今よりもっと楽しく暮らせるのではないか。それとも、「日常風景」になると、たちまち効果は消えてしまうのだろうか。

もし後者なのだとしたら、やっぱり、旅先のままで留めておきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?