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【今日コレ受けvol.005】泥臭いリサーチ

毎朝7時に更新、24時間限定のショートエッセイCORECOLOR編集長「さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書く「遊び」を集めたマガジン【今日コレ受け】に参加しています。


飲食店を選ぶのが得意なほうだと思う。
~ログで星いくつ、などの情報で選ぶのではなく、店構えで判断するのだ。

清潔感、こだわりが感じられるメニュー書きや店舗デザイン。
言葉にするのは難しいのだが、「仕事を丁寧にしている」空気感のようなものが感じられれば、大抵は「アタリ」だ。美味しい食事にありつける。

この能力? がなぜ身についたのかというと、十数年間、本当に死ぬほど飲食店を取材していたから。そして、「リサーチ」と言って、実際に店へ足を運んで、掲載する店舗を選んでいたからだ。

毎月オープンした店舗のなかから、おすすめ店を紹介する連載を担当していたときは、少なくとも月に10軒には足を運んでいた。

外側だけを整えた店、料理はほぼレトルトの店など、さまざまな「ハズレ」も引いた。私は胃腸が弱いのだが、おそらく食材が古かったり、火のとおりが甘く、大変なことになったのも1度や2度ではない。

店選びの力は、こうして泥臭く数をこなしたから身についたのだ。


フリーランスでライターをしていると、新しいチームで、新しい仕事に取り組ませていただくことも多い。

仕事内容自体もそうだが、コミュニケーション方法、その現場で使われる用語や仕事の流儀に慣れるのに時間がかかり、よく失敗する。自分で言うのもなんだが、かなり不器用なほうだ。

そのたびに「なぜスマートにできないのか」と落ち込むこと多々だが、考えたら当たり前。編集、ライターとしての仕事は長年やってきていたとしても「その仕事で数をこなして」はいないのだから。

「この店を紹介するべきか」を綿密にリサーチしていたときのように、五感を研ぎ澄ます。「この仕事でなにが必要とされているのか」1年生のつもりで考える。

どんなに経験を重ねてもそこに立ち戻り、真摯に向き合いたい。そして、「アタリ」の店が持つ、あの丁寧な空気感をまといたい。

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