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【今日コレ受けvol.013】未来へ手渡す知恵袋

毎朝7時に更新、24時間限定のショートエッセイCORECOLOR編集長「さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書く「遊び」を集めたマガジン【今日コレ受け】に参加しています。


「風邪を引いたときは、ネギを首に巻けばよい」
という話を、聞いたことがある人は結構いると思う。

かなり前の話だが、ある料理研究家の方の取材をしたときに、そこに科学的根拠があると聞いて驚いた。

ネギにはアリシン(硫化アリル)という成分が含まれていて、揮発性が高い。ネギやタマネギを切ると、目に染みる原因もそれだ。

このアリシンが抗菌作用や疲労回復効果が高いため、風邪に効くのだそうだ。実際にその料理研究家さんは、「さすがに首に巻きはしないけれど、風邪気味のときはネギを積極的に食べますよ」と話されていた。

これを聞いて、「おばあちゃんの知恵袋」だと思っていた「ネギを首に巻く」が実は「ライフハック」だったのだと気づいた。

その後も、ライターの仕事を続けるほどに、「おばあちゃんの知恵袋」が、意外と侮れないと知った。

例えば、お米の研ぎ汁ひとつとっても、
「お米の研ぎ汁で大根を炊くとおいしくなる」
「お米の研ぎ汁で油汚れや排水溝を掃除すると、汚れがとりやすい」
「お米の研ぎ汁を塗っていると肌が潤う」

などなど、たくさんの知恵袋がある。これらはいずれも、過去の取材で話題にのぼったもので、調べてみると、科学的根拠があった。


でも考えて見れば、当たり前なのかもしれない。
まだ誰もが文字を自由に操れなかった時代には、人から人への口頭伝承で歴史や文化、生きるために注意すべきこと、全てが伝えられてきたのだ。

昔話やことわざにも、そういったメッセージが含まれているものが多い。

そう考えると、「おばあちゃんの知恵袋」は「ライフハック」にとどまらず、今でいう本の役割を果たしているとも言える。

ということは、本を、また記事を書くときにも、「おばあちゃんの知恵袋」を意識したらいいのかもしれない、、?


おばあちゃんでいうところの孫、つまりその知識を残したい、伝えたい大切な相手は誰なのか?

想像し、相手に生きていくために大切な「知恵袋」を手渡すと考えて書けば、きっと誰かしらの役に立てる原稿になるのではないか。

たとえそれが、10年、100年、もっと先だとしても。そんな想いで、今日もコツコツ書いている。

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