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【今日コレ受けvol.014】制限は、自由への扉

毎朝7時に更新、24時間で消えてしまうショートエッセイ「CORECOLOR編集長 さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書く「遊び」を集めたマガジン【今日コレ受け】に参加しています。

4日徹夜した後、勤めていた編プロのトイレに座った瞬間に爆睡し、同僚に捜索された過去がある。それくらい出産前は、徹夜が当たり前だった。

休日出勤も多く、あまりにも事務所にいたので、当時のメンバーとは50年くらい一緒に働いたような気がする。実際は15年だが…。
もはや家族だ。


だが、子供が生まれて仕事に復帰してからは、そうはいかなくなった。
絶対に朝7時半までに保育園に送り、夜は6時半までにお迎えにいかなければならない。

となると、仕事ができる時間は平日の9時から17時の間に限られる。私の勤めていた編プロは、それぞれ担当する仕事が分かれていたので、「時間になったら誰かに仕事を引き継いで帰る」こともできなかった。

つまり、自分でなんとか9時から17時の間で回るようにやりくりするしかない。もう、必死のパッチだ。

正直に言うとなんともならず、子供が夜9時に寝てから「第二ラウンド」と称して原稿作業をしていた時も結構ある。
ずっと、全力ダッシュして息切れしている状態だった。


だがおかげで、それまで「泥のように眠る」しかなかったプライベートが、彩り豊かになった。
いくぶん、規則的な生活をできるようになったからだ。

休日には、息子と公園にいって季節の移ろいを感じたり、ママ友家族とお出かけしたり、旅行にいく余裕も生まれた。
そのたび、息切れしていた呼吸がやすらかになった。

そう考えると、「お迎えがあって残業できない」という制約は、あの頃の私にとって「自由への扉」だったのかもしれない。


加えて2020年4月、新型コロナ感染拡大防止のために緊急事態宣言が出たときも、自由への扉だと感じた。

2ヶ月間小学校が休みになり、フリーランスライターになっていた私の仕事も完全にストップ。母子二人でずっと家にいられたからだ。

もちろん、「外に出られない」という制限はあったが、だからこそ、親子でお菓子を作ったり、ベランダにテントを張ってキャンプ気分を楽しんだり、プランターにハーブを植えたりしていた。

毎日仕事をしているとなかなか難しい、子供との時間をたっぷり楽しむことができた。


一見窮屈だったり、制限されて息苦しいと感じる環境にも、見方を変えれば自由への扉や、人生へのギフトが隠れているのかもしれない。

大切なのは、その状況で「いかに自分なりに楽しむ術を見つけるか」を考え、たとえ小さなことからでも、変えていくことではないかと思う。

楽天的すぎるかもしれないが、必死のパッチでお迎えに行っていた時期も、〝ステイホーム”で家から出られなかった時期も、今ではよき想い出だ。


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