【今日コレ受けvol.080】感情とウェルビーイング
7時に更新、24時間で消えてしまうショートエッセイ「CORECOLOR編集長 さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書くマガジン【今日コレ受け】に参加しています。
自分の感情に気がつくのが遅いほうだ。
誰かに言われた言葉に「あれ、なんか……?」とモヤモヤして、半日後くらいに、「わたし怒ってるな」「あのひと言を言われて悲しかったんだ」などと気づいたりする。
あとの祭りも甚だしい。
でも、その時差があるから喧嘩にならず、冷静でいられる。にぶさはわたしの弱みでもあるが、強みでもあると思う。
ただ、相手がネガティブな感情をむき出しのときは別だ。たとえ全く知らない人であっても、近くにいると伝播する気がする。
なかでも「イライラ」の伝播力? はものすごい。間近で受けるとイライラの波に飲み込まれるため、距離をとってしまうことがある。
そう考えると、感情って不思議なものだ。
一体、なんのためにあるのか。
近年、「動物にも感情がある」という事実が解き明かされているというニュースを目にする。
意外な気もするけれど、ペットと暮らした経験のある人には、「いまさら」だと感じる人も多いのではないだろうか。
猫や犬の鳴き声の使い分け、アイコンタクト、尻尾の多様な動き。
野生の動物達が、危機に陥った仲間や子供を、自分の命を危機にさらしても助ける姿も。「猫が鳥に優しくする」など、ときには異なる種の動物間で見られる、愛情や共感のような行動も。
感情がなければ、とても成り立たない気がする。もしそうであるならば、感情の役割とはなんだろう。
本能的に備わっているとするなら、生存戦略の1つ? 感情があったほうが長生きできる…とか?
例えば、代表的な感情である、喜怒哀楽で考えてみる。多くの人は喜びと楽しみを求め、怒りと悲しみからは遠ざかりたいと思うものだ。
だとすれば、喜びと楽しみは命を永らえ、怒りと悲しみは命を短くする?
たしかに、そういう側面はあるかもしれない。
特に「ウェルビーイング」という観点では。
野生動物や虫のウェルビーイングなんて、考えたこともなかったけれど。そもそも、「人間だけに当てはまる」という考え自体が思い上がりなのかもしれない。
ところで、だ。
「怒りと悲しみは命を短くする」という観点から考えると、「自分の感情に気がつくのが遅い」わたしは、命の危険を回避できていないのかも。
少なくとも半日は。
全然、強みではないではないか。
まだまだ長生きしたい。
できるなら、心身ともに健やかに。
ならばもう少し、自分の感情に敏感でいることを意識してみよう。