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“展対照 〈第一部〉” 佐内正史

写真集を見るときはパラパラパラパラとスピードがどんどん上がっていってしまうけれど、アナログプリントされた作品は質感が全く違い、自然と歩みが止まる。写真のセレクトと小さめなサイズ感に加え、ギャラリーの洞窟のような雰囲気もとても心地良い。ゆっくりと何周もしていたら、在廊されるために訪れた佐内さんとお会いすることができた。ゆっくりと丁寧にお話していただけて、少ない言葉数でも説得力があり、写真を撮っている身として、また人としても、とても学びが多かった。くるりのCDジャケットと歌詞カードの中の写真がとても好きなことを伝えたところ、作品作りに対する姿勢としては同じような感覚だよねと岸田くんと会うといつも話している、と仰っていた。説明をし過ぎない“余白のある写真”を、構えずに(狙い過ぎずに)撮れるようになりたいものだ。

中判カメラの画角(6:7)に感化されて、佐内さんが使用しているPENTAX67を中古カメラ屋さんに見に行き、その大きさにたじろいだ。インターネット上で眺めてるより相当デカい。持ち歩いているNIKON F2とレンズ2本でも限界なので、気軽に導入は出来ないし、そもそも複数台を保有しても使い分けが出来ない性格なのだった。(持ち歩いていない方のカメラに同情してしまうため。)なので諦めた。佐内さんも、フィルムは私と同じKODAKのPORTRA400を使用しているらしい。憧れの人と同じもの選んでいたということ、それだけで嬉しくなる。

デジタルの速さ、軽さ、コストパフォーマンスの良さには太刀打ちできないけれど、アナログで撮ることの意味を肯定出来た日でした。いつかは好きな人の作品を部屋に飾れるようになりたい。

以下は自分を形成している佐内さんの写真たち。

•さよならストレンジャー、感覚は道標 etc.(くるり)
•金字塔、世界のフラワーロード etc.(中村一義)
•苔のように/平常心、味噌、鮭と犬(uminecosounds)
•『ジョゼと虎と魚たち』 の劇中使用写真

※今回の展示写真は下記のオンラインギャラリーで見られるようです。
https://www.vacant.vc/tentaishow1-artworks

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