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【目からウロコ】「よい文章」とは



(1)「よい文章」とは何か


 小論文というと、巧い文章、美文、達文を書かなければならない。そう思っている受験生が多いかと思います。実は、大学入試の小論文は美文、上手な文章を書かなければいけないというわけではありません。もちろん、巧い文章を書くのに越したことはないでしょう。しかし、一部の難関私大の文学部(慶應義塾大学文学部)や芸術系の大学(日本大学芸術学部)ではない限り、巧い文章を書かなければ合格できないというわけでは決してありません。
 なにしろ、みなさんは小説家や脚本家などの文章のプロをめざすわけではないのですから。
 巧い文章を無理して書かなくてもいいけれども、入試で「よい文章」を書かなければ高い評価点をもらえることは難しく、合格に結び付くことも厳しいかと思います。
 それでは、「よい文章」とはどんな文章でしょうか。
 それは、書き手の「言いたいこと」が読者にうまく伝わる文章です。表現が不十分で、何を言いたいのかが曖昧(あいまい)であったり、いろいろな意味に取れたりして、誤解を招くような文章は「よい文章」とはいえません。
 受験生の主張が余すところなく十分に読者(採点者)に伝わり、その主張が論理的な説得力を持ち、なおかつ独自な視点をもっていれば、大学の門に限りなく近づくことができるというものです。
 つまり、「よい文章」とは「わかりやすい文章」のことなのです。

(2)「わかりやすい文章」とは


 それでは「よい文章」=「わかりやすい文章」とは、どんな文章でしょうか。
 「わかりやすい文章」を考える前に、わかりにくい文章、いわゆる悪文について見ていきましょう。以下の悪文の例を示します。


<悪文の例1>
政治、経済、教育、健康の4項目について数値化して男女格差を計るジェンダーギャップ指数で、2018年の日本の順位は149か国中110位であり、先進国の中で日本が極めて低い順位に甘んじているのは、特に政治と経済の分野で男女の格差が広がっていることが原因である。

 <悪文の例1>は1文が長く、一読して文意をすんなり汲み取ることができません。つまり、何を言いたいのかがわかりにくい。いろいろと「言いたいこと」を1文の中にぎゅっと詰め込みすぎているのが原因です。
 このような場合、1文を2文に分ければ文意がすっきりして、「わかりやすい文章」になります。

<わかりやすい文章の例1>
政治、経済、教育、健康の4項目について数値化して男女格差を計るジェンダーギャップ指数で、2018年の日本の順位は149か国中110位であった。先進国の中で日本が極めて低い順位に甘んじているのは、特に政治と経済の分野で男女の格差が広がっていることが原因である。

<悪文の例1>が問題なのは、1文が長いことに加えて、主語が2つあることです。
「日本の順位は――」と「甘んじているのは――」の2つあることで、読者が主語―述語の対応関係をうまく読み取ることができずに、結果としてわかりにくい文章となっています。
 この例から、小論文を書く際の大切なことは2点あります。

☞ポイント
1文は短く。
1文で主語は1つ

<悪文の例2>
他者との信頼のネットワークを強化し、拡大していくことが本当に犯罪を抑止したいと思うのであれば望ましい。

 <悪文の例2>も文章が行ったり来たりしている感じがして、一読してすんなり文意を読み取ることが難しくなっています。
 この文章の意味がわかりづらい原因を分析すると2点あげられます。
①「他者との信頼のネットワークを強化し、拡大していくことが(本当に犯罪を抑止したいと思うのであれば)望ましい。」カッコ内の文章が挿入されていることが、文意がわかりづらくなっている原因となります。
②主語「ことが」と述語「望ましい」が離れていることが、文章の意味をわかりにくくしている要因です。
 そこで、<悪文の例2>を以下に改めます。

<わかりやすい文章の例2>
本当に犯罪を抑止したいと思うのであれば、他者との信頼のネットワークを強化し、拡大していくことが望ましい。

(本当に犯罪を抑止したいと思うのであれば)という挿入句を先頭に移し、主語「ことが」と述語「望ましい」を直結させたことで、わかりやすい文章となりました。

☞ポイント
主語と述語を近づける。

(3)今回のまとめ


「よい文章」とは「わかりやすい文章」
1文はなるべく短く書く。
1文で主語は1つ。
主語と述語を近づける。

以上、『OK小論文』塾長でした。


小論文入門 <§1>基礎編(part1)序章③ 「【目からウロコ】「よい文章」とは」終わり

小論文入門 <§1>基礎編(part1)序章④ 「④小論文を書くために必要な情報入手の方法」に続く

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