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「マンガなんて出してたっけ……?」と言われがちな出版社が、 自社原作のコミカライズを始めました。

こんにちは、文春note部の中の人のひとり・Kです。
ふだんは電子書籍編集部で、紙の本・雑誌を電子化しています。スマホで読めるように体裁を整えたり、作家さんに作品の電子書籍化のお願いをしたりしています。

突然ですが「文藝春秋」と聞くと、何を思い浮かべますか?
即座に「週刊文春」のスクープをイメージする方もいれば、本屋の「文春文庫」の棚を想像する方もいるかもしれません。
でも、マンガを思い浮かべる方は少ないのでは、と思います。

今日は、そんな出版社がマンガについて少しお話しします。

※コミックエッセイは出しています!

ちなみに、コミックエッセイは定期的に出版しています!最近では、つづ井さんの『裸一貫!つづ井さん』

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つづ井さんのnote、思わず感動してしまいました……。担当編集のくだりを読んで、新米編集者の私は「いつかこんな仕事がしたいっ」と頭を抱えました。

あとは、東村アキコさんの『偽装不倫』。LINEマンガで連載中のこの作品、紙の書籍は文藝春秋から出ているのです。

プレゼンテーション1

他にも高田かやさんの『カルト村で生まれました。』、雲田はるこさんの『R先生のおやつ』(レシピは福田里香さん)など……。『カルト村で生まれました。』は、可愛らしい絵でかなり衝撃的なことが描いてあって、印象に残る1冊。CREAで連載していた『R先生のおやつ』は、何度スイーツを作ろうとして材料選びの時点で挫折したことか(生クリームの多さで脱力する)。

実力あるマンガ家さんの、ほのぼのするコミックエッセイが多数発売されています。電子書籍担当の私が言うのもなんですが、1冊、部屋の片隅に置いておきたくなる作品が多いと感じます。

「電子」の部署だからできること

さらに今年から、電子書籍編集部ではこうしたコミックエッセイも頑張りつつ「少し視点を変えて、新しいコミックを作っていこう」という話が出てきました。
それは「自社から刊行された原作のコミカライズ」です。

デジタルの部署にいると、電子コミックがいかに読まれているかを肌で感じます。
実際、通勤中にスマホでマンガを読んでいる人をよく見かけますし、私自身KindleやLINEマンガ、ジャンプ+などのアプリを使っています。リイド社さんの「劇画狼のエクストリームマンガ学園」といったサイトも好きです。

こうしたデジタル展開を見ていると、紙媒体がなくてもマンガは作れるし、面白い作品は読まれるのだと感じます。

また、文藝春秋は「文字もの」がメインの出版社。マンガのイメージはなくても、マンガの原作となりうる小説やエッセイは沢山あります。コミカライズがきっかけで、原作も手にとってくれる読者がいたら……という期待もこめて、新しくコミカライズ作品を増やすことが決まりました。

こうして電子書籍編集部でのコミック制作がスタートし、最初に生まれた作品はこちら。

ベテランの棋士が「うつ病」に。『マンガ うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』

空前の藤井フィーバーに沸く将棋界。順風満帆な日々を送っていた羽生世代の棋士・先崎学は、ある日目覚めると「ほんのり頭が重い」ことに気づき……。
「精神的不調なんかじゃなくて、立派なうつ病」と診断され、治療のために入院。休場を余儀なくされた先崎学は、うつ病から回復できるのか?

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7月から「文春オンライン」で連載を始めて、現在、最新話・12話を更新中(2019/10/9時点)。
原作は「うつ」の闘病エッセイなのに、どこか文体にユーモアがあります。マンガ家の河井克夫さんも、原作の雰囲気に合わせて、時々くすっと笑えるシーンを作っています。
若干デフォルメされた先崎さんに注目。彼の友人知人として、将棋界の有名人もときどき登場します。
マンガの続きを読むにはこちら

世間を騒がせた投資家の半生記『マンガ 生涯投資家』

「物言う株主」と呼ばれ、2006年にインサイダー取引容疑で逮捕された後、表舞台から一切姿を消した村上世彰氏。10年後、株取引の世界に復帰した彼は、お金と向き合うことの大切さを伝えるため、全国の学校で「お金の授業」を始める──。

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こちらは10月10日からの新連載作品。「投資」と聞くとやや難しそうなイメージがありますよね。私も恥ずかしながら、原作を読んで分からない箇所が多々あったのですが……。マンガ家の西アズナブルさんがとても分かりやすくコミカライズをしてくれました。
第1話は村上さんの少年~青年期について。村上少年、既にめちゃくちゃ頭がいいのですが、この頃はまだ投資を始めたばかり。投資が全く分からない方も、入りやすい導入になっていると思います。
マンガの続きを読むにはこちら

余談

現時点では、まだこの2本しか公開できていないのですが、今後はもっとラインアップを増やしていきたいと思っています。
上の2作は文春オンラインで公開中。良かったら読んでみてください。

余談ですがある時、出版業とは全く関係のない友人から「Kの会社ってマンガ作ってるの?」と聞かれ、「一応あるし、少し作ってるよ」と答えたところ、「えっ『鬼●の刃』とか!? 大好きなんだけど!!」と肩をゆさぶられました。(※他社です)

アニメ化されている少年・少女マンガとはまた少し違った方向性なのですが……少しでも原作に興味をもってもらえる方が増えるよう、面白いコミカライズ作品を作家さん達と作れたらと思っています。
応援の程、どうぞよろしくお願いいたします。

◆原作はこちら◆

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間

『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』
著・先崎学
商品ページはこちら

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『生涯投資家』
著・村上世彰
商品ページはこちら


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