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井の頭公園の散歩(16)もしかしたらもしかするかもという妄想

 井の頭池一周も大詰めになりました。戦中まで井の頭池にせり出た2軒の茶店があったところを後にして、藤棚を通り過ぎ、お茶の水橋まで来ました。この橋は開園当時の面影を残している数少ないところ。伝説で徳川家康が鷹狩のときお茶の水として使用したところから「お茶の水」と呼ばれている代表的な湧水の場所。こんこんと勢いよく湧き出る水は井の頭公園最大の観光ポイントであっただろうと想像します。

 現在は、その「お茶の水」の後ろにマンションが3棟(遠くからは1棟に見えますが3棟です)建っています。これらのマンションは今から約50年前、1968年(昭和43年)から71年(昭和46年)に次々と建てられたものです。国土交通省によると鉄筋コンクリートの平均寿命は68年とのことなので、あと20年ほどで平均寿命となります。住んでいる方にとっては井の頭池を見下ろす素晴らしい景観を期待しての購入だったのでしょう。

 しかしながら、七井橋からマンション方面の井の頭池の景色はちょっと残念なものになってしまいました。そこで、平均寿命を迎える20数年後がすごく気になるのです。建て替え時期を迎えてどうなるのだろうかと。世の中の価値観がどんどん変わっている時代ですから、もしかしたら公共の景観を大切にしようという声も上がったりするのではないかとあれこれ妄想してしまうのです。

 そういう私もその頃は平均寿命をとうに超えていますので解体、いえ灰になっていることでしょう。


メールマガジン『ぶんしん出版+ことこと舎便り』Vol.16 2022/9/22

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