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井の頭公園の散歩(15)池畔にせり出した茶店

 井の頭池に架かる七井橋を横に見ながら西に向かうと、左手奥に藤棚、その右手にトイレが見えてきますが、戦前その少し手前に、池畔にせり出した2軒の茶店がありました。茶店の存在が明らかになったのは、徳田東助さん(1905年生/故人)が撮影したネガフィルムやプリントを長男の徳田薫さんが大切に保管していたからです。
 2014年(平成26年)暮れに経堂にお住いの薫さんから電話が入り、「父親の写真を整理していたら井の頭公園の古い写真が出てきた。いるのならあげるよ」と言われて、早速伺って拝見したのが、戦前の井の頭公園の貴重な写真でした。
 その時代を表す一般の方々が多く写っていて、この写真を見たときに「写真集を出せる、出したい」と思ったほどでした。

 池畔にせり出した茶店でくつろぐ人々、七井橋で池を見つめる人々、杉林に囲まれた道を歩くアベックなどなど。その2軒の茶店は、戦時中、茶店の裏に米軍が時限爆弾を落としたのですが不発となり、いつ爆発するか分からないので七井橋のたもとに移動しました。
 その不発弾は、二十数年後の1969年(昭和44年)2月に処理されたことが当時の新聞に掲載されています。なお、徳田東助さんの貴重な写真は、『井の頭公園100年写真集ハンディー版』(ぶんしん出版/2022年)のp.90~103に掲載されています。


メールマガジン『ぶんしん出版+ことこと舎便り』Vol.15 2022/8/26

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