【小説】夏休みに男の娘になる男子高校生の話(第3話:金髪・おかっぱ・メイク)
続きです。同じ内容ですがpixivにもアップしてます。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21326292
他の小説もあるので良ければ是非。
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今年最初の猛暑日の中、橘さんの家に宿題をやりに向かっている。女子の制服に、暑さ対策で麦わら帽子を被って日傘もさす。時折吹く風がスカートの中に入り込んできて心地よい。
「おーい、早川くんじゃん。」
橘さんの住むマンションの前で、橘さんと遭遇した。
「飲み物の買い出しに行ってたとこ。それより早川くん、すっかり女の子だね」
僕は、急に男子高校生に意識が引き戻された気がして恥ずかしくなる。
「あれ?めっちゃ奇抜な色のウィッグ被ってるね。うちのお兄ちゃんに影響されちゃったぁ??」
ニヤニヤと書かれて僕はムッとして、勢い答える。
「ち、違うよ!これは地毛だし!あっ。」
思わず余計なことを言ってしまう。
「え?えーーーっ!」
被っていた麦わら帽子を橘さんに取られて頭を隠す。
「すごっ、めちゃくちゃ金髪じゃん。それにこの間より刈り上げ丸見えになってるよ。それに眉毛まで金色になってるし!全部自分でやったの?」
「いや、流石にお店でやってもらったよ。この間、切ってもらったとこ。なんか店員さんテンション上がっちゃって、めちゃくちゃ奇抜になっちゃった。」
橘さんは僕の顔を覗き込んでくる。
「おやおや〜。その割には、嫌そうな顔には見えないけどな。実は気に入ってるんじゃないのぉ?」
僕は耳を赤くなるのを隠すように、麦わら帽子を奪い返してかぶりなおし、先に歩き出す。
「もぉ!暑いし早く中に入ろう!」
「わかったって!そんなに怒らないでよー。」
橘さんの家に入ると、お兄さんが「いらっしゃい」と出迎えてくれた。私が帽子を取るのを躊躇っていると、後ろから橘さんが再び帽子を奪い取る。
「どう?お兄ちゃん。早川くん可愛いでしょ。」
橘さんがニヤニヤしながや見ている。
「あら、金髪にしたのね。すごく可愛いよ。それに。。。」
といってお兄さんは私の周りをぐるっと一周する。
「うしろも短くしたんだね!刈り上げが活かされてて良い感じだよ。」
あぁ、バレてしまった。元々、後ろはめくらなければ刈り上げが見えないくらいだったのだが、今は耳の真ん中あたりまで短くされていて「おかっぱ」感が強くなってしまった。刈り上げも金髪だからバレないかと思ったけど無駄だった。
「やっぱり、わかりますか??短くなりすぎて可愛くないですよね??」
「そんなことないよ。かえって女子らしさが高まってるよ。だって、そんなに揃ったおかっぱにしてる男子いないでしょ?」
改めて鏡で自分を客観視すると、控えめに評価しても、そこに写っているのは金髪おかっぱの「女子」だ。前髪は眉上3センチほどで真ん中が一番短く、左右に進むにつれて長くなるアーチ状になっている。そして耳のあたりで段になって長くなり、そこから後頭部に向かって斜めに短くなっている。いわゆる「前下がりボブ」だが、後ろが短いので地肌に同化した金髪の刈り上げが丸見えになっている。全体的に丸みの帯びたフォルムで女性らしさを増しているのかもしれない。
それにしても短くした方が「女子らしい」のは不思議だ。お兄さんに褒められたことで、本当に似合ってるのか不安だった気持ちが、自信に変わるのを感じた。
「早川くん、せっかくだから、メイクも金髪に合う感じにしようよ」
お兄さんと橘さんは、私の反応を待たずにそそくさとメイク道具を準備しだす。私も満更でもなくなっているので、されるがままで待つ。
ファンデーションでベースメイクをしてから強めにアイラインを引いて、次に鼻筋にシャドウを入れていく。
「ちょっと目をつぶっていてね」
まぶたの上に何かを貼られている感覚がある。目を開けると、ぶりぶりに長いつけまつ毛が付けられている。元々まつ毛は長い方だが、これでもかと目が強調される。
最後に真っ赤なリップと、太めのアイブロウを描いて完成だ。
金髪にばっちりメイクした顔は、以前までのナチュラルな女子高生のような雰囲気とは変わっての派手メイクで、なんだか自分が強くなったような気分になる。
ーぐふっ。早川くん、可愛すぎるんですけど!
何やら橘さんがぼそぼそ言っているので覗き込む。
「どうしたの?やっぱり僕、変かな?」
「ぜ、全然そんなことないわよ!それより、せっかくバッチリメイクしたんだから、どこかに写真撮影とかいこうよ。今日は勉強はやめやめ。」
そういえば、今日は宿題をしにきたんだった。お兄さんも賛成して、どこにでかけるか3人で話し合いを始めるのだった。
(続く)
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おまけ
髪をアップして刈り上げ全開にすると、こんな感じでモヒカンになるイメージ。
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