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便利すぎる雑貨屋さん



春は出会いと別れの季節なんてよく言うだけあって、なんやかんやそういうシーズンである。このソワソワ感が苦手だな〜なんて思いはあるものの、今、困っているのはそこではない。


プレゼントどうしよう問題である。


クリスマスとかバレンタインとか、ただ通り過ぎていくだけのシーズンイベントなら、失敗してもいいと思う。あとで笑うネタになるし。まぁ、あとで笑うネタになるという意味で言えば、プレゼントを渡す相手との関係性さえよければ、そうやって笑い話に昇華できるから、なんでもいいのかもしれない。でも、やはり、お別れのプレゼントとなると、これでもう最後かもしれないと思うから、できれば失敗したくないという気持ちが強くなる。

一言で失敗と言ってもいろいろなパターンがある。
要らないものをあげちゃった時。
チープすぎた時。
逆に高すぎて気を遣わせた時。
TPOがずれちゃってた時。
もう持ってるものだった時。

考え出すとキリがない。

でも、今困っているのはもっとピンポイントなこと。ある雑貨屋さんの存在である。

その雑貨屋さんが全国的にどれくらいの市民権を得ているのかわからないので、ここでは仮名で呼ばせてもらいたい。
とりあえず、その雑貨屋さんを「オーエブリデイズ」と呼ぶことにする。私たちの毎日に彩りを与えてくれる雑貨や日用品を売っている。そんなイメージだ。


そんなオーエブリデイズは、ちょっとしたプレゼントを選ぶのに大変便利である。お菓子、ハンカチ、入浴剤、コスメ、文房具、キッチン用品などなど。自分では買わないけどあったら嬉しいかもな〜というものが売っている。ちょっと見栄えの良いデザインであったり、ちょっとばかし高級だったりする。普段使いというにはちょっとばかし背伸びしてくれる感じが、まさに「ちょっとしたプレゼント」にピッタリなのである。

これは私が勝手にそう思っているわけではなく、オーエブリデイズ側も確実にそのことをわかっている節がある。その証拠に、最初から良い感じにラッピングされているセット販売商品があるのだ。
ハンカチとお菓子とか、ハンカチと入浴剤とか、入浴剤とハンドクリームとか、色合いや需要を意識して、程よい値段になるようにして、なんか良い感じに組み合わせてラッピングして陳列されている。プレゼント選びを目的に訪れている人間が「お、もうこのままプレゼントできるからちょうど良いじゃん!」となること間違いないのである。

というわけなので、出会いと別れのプレゼント需要がビンビンなこの時期には、当然、オーエブリデイズ側も気づいている。桜をあしらったイメージとか「ありがとう」「おつかれさま」「おせわになりました」そんなメッセージとか、そういう方向性で使い勝手が良いものを取り揃えてくれているわけだ。

ありがたい。
大変ありがたい。
とても大変ありがたい。

のだが。

ここまで便利だと、みんな誰もが自然とオーエブリデイズを利用することになる。この季節は、入社や転勤や異動、卒業、入学、お別れする側もされる側も、引き継ぎや新生活の準備に忙しい。そんな中で手軽にピッタリのものを手に入れられるのは本当にありがたいと思う。

でも、みんなが「あそこに行けば、ちょうど良いプレゼントが売ってると思う!」と行動した結果考えられる悲劇がある。それは、お別れする人もお別れされる人も、お互いがオーエブリデイズでプレゼントを用意しており、意図せずに、オーエブリデイズで買った商品を交換する会になってしまうのではないかということだ。その時の気まずさを想像するや、私はもう気が気でない。その時の空気に耐えられそうにない。オーエブリデイズの手軽さに乗っかったと言う後ろめたさも生まれてしまって、笑い話に変えられる自信がない。
交換会までいかなくても、「あーこれオーエブリデイズに売ってたな」と思われるのもつらい。値段もわかっちゃうし。でもこの場合、「実は欲しかったんだよね!」という可能性もあり得るのでそれに賭けるしかない。逆に「これ買う人いるんだ。これだけはないと思ったわ。」というパターンもあるので怖いが考え出したらキリがない。


結局、考え出したらキリがないのだ。
そもそも、何をあげるかではなく、そこにどう気持ちを乗せることができるのか、それが大事だし重要なんだということもわかっているのだ。
でもだからこそ、私の気持ちが誤解のない形で最大限に伝わるものを、できればなるべく少ない労力で揃えたいということなのだ。


ということで、オーエブリデイズは避けることにした。しかし、そうなってくると、似たようなお店が思いつかない。あそこはちょっと若い子向けな気がするし、あそこはおもしろ系のグッズになっちゃうんだよなあ。
というわけで、イオンモールを徘徊してみたところ、オーエブリデイズで売ってそうな方向性のプレゼントを揃えることができた。

そう、結局、店を避けてみたところで完全には逃れられないのだ。
私が求めているものは、「自分では買わないけどあったら嬉しいかもな〜」「普段使いというにはちょっとばかし背伸びしてくれる感じ」「出会いと別れの季節の雰囲気」そんなちょっとしたプレゼントである。
そして、大正義オーエブリデイズでは、、「自分では買わないけどあったら嬉しいかもな〜」「普段使いというにはちょっとばかし背伸びしてくれる感じ」「出会いと別れの季節の雰囲気」そんなちょっとしたプレゼントになりそうな商品を取り揃えているお店なのである。
この事実が変わらないので、どこで探そうと、オーエブリデイズにありそうなものになってしまうし、実際私もそれを求めているのだ。



ゴタゴタとグルグルといろいろ考えてみたものの、とりあえず物の用意は整った。
次は、どう渡すか。私の気持ちが誤解のない形で最大限に伝わるように渡すことができるように、そこを考えなければならない。

とにかく、喜んでもらえたら、いや、とりあえず、変な感じにならなければいいなと思う。

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