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今こそ「Redemption Song」を!『ボブ・マーリー:ONE LOVE』【映画レビュー】

★★★★☆
鑑賞日:5月18日
劇場: MOVIX三好
監督:ライナルド・マルクス・グリーン
出演: キングズリー・ベン=アディル

One love, one heart
Let's get together and feel all right
Hear the children crying (One love)
Hear the children crying (One heart)
Sayin', give thanks and praise to the Lord and I will feel all right
Sayin', let's get together and feel all right
1つの愛、1つの心
さあ皆いっしょに集まろう、そして大丈夫って感じるんだ
ほら子供が泣いている(1つの愛)
泣き声が聞こえるだろ(1つの心)
さあ、感謝して、主を称えて、僕は大丈夫なんだって感じるだろう
さあ、集まろう、そして大丈夫なんだって感じるんだ

BOB MARLEY「ONE LOVE]

鑑賞後すぐにCD引っ張り出してきて、ヘビロテ中。
時代背景、ラスタファリ思想、レゲエミュージック等々少しだけでも予習しておくとより楽しめるはず。

ジャズのごとくセッションしながら曲が生まれていく
事前のセットリストはなく
ステージに上がって観客を見て決める「EXODUS」最高
スマイル・コンサートでの「WAR」圧巻
焚火を囲み子供たちの前で弾き語る「Redemption Song」感涙
リタにドレッドヘアを洗ってもらうシーンも良かったな。

ジャズのごとくセッションしながら曲が生まれていく

スタジオ・ワンのコクソン・ドッドやそこでの最初のレコーディング曲「Simmer Down」のエピソードも押さえられており嬉しかった。

スタジオ・ワン
最初のレコーディング曲「Simmer Down」が誕生

一方白人の父親のことやなぜ子沢山なのかというところは深堀りされておらず消化不良なところもあった。
映画のストーリーとしては薄味で、塩味が少し足りないようにも感じた。
なにより生身のボブ・マーリーを描くには時間が足りない。
偉大なる妻リタの功績ももっと欲しかった。

7男3女
リタの存在は大きい
彼女を傷つけたり変えようとしたり分析したりしてはいけない。彼女があなたに捧げられるもの以上を望んではいけない。彼女が幸せにしてくれた時には素直に笑おう。彼女が君を怒らせたときはそれを伝えよう。そして寂しいということを忘れないでほしい。彼女があなたの傍にいなければ。by B.M.

身内が制作に係るとエピソードの真実性は上がるが、どうしてもエンタメ性は薄まっていくのかもしれない。
『ボヘミアン・ラプソディ(2018)』が成功したのは、フィクションとノンフィクションがいい塩梅で混ざり合い時には時間軸を操作してでもエンタメ性を保持させたから。
“楽しませるための「ウソ」ならフレディは許してくれるさ”というクイーンのメンバーも粋であった。

とはいえ
入門編としては十分楽しめた。
曲が流れる度、身体は揺れていた。
ボブ役のキングズリー・ベン=アディルはカッコよかった(かっこよすぎた?)

欲を言えばラストの尻切れだった「ワン・ラブ・ピース・コンサート」のライブシーンは長尺で観たかった。

「俺の命より 他の人々の命が重要だ。皆を救ってこそ俺はある。自分のためだけの命なら 俺は要らない。俺の命は人々のためにある。」

随分前からボブはONE LOVEを叫んでいるのに
いまだに戦争が止むことはない。

「後ろ向きなやり方では、とても生きてはいけないよ。
分かるかい。前向きに進むんだ。毎日が新しい日なんだから」by B.M.

今こそ「Redemption Song」を。

Emancipate yourselves from mental slavery
解放するんだ自分自身を 精神の奴隷から
None but ourselves can free our minds
自分自身でなければ
自分の精神を自由にすることはできない
Have no fear for atomic energy
原子力に恐れることはない
‘Cause none of them can stop the time
なぜなら誰も時間を止めることはできない
How long shall they kill our prophets
どれだけ預言者たちを殺してきたのだろう
While we stand aside and look?
一方で僕たちは側で見てたんだろ?
Some say it’s just a part of it
それはただの一部だって言うんだ
We’ve got to fulfill the book
台本を完成させなきゃいけないんだ
Won’t you help to song
一緒に歌わないか
These songs of freedom
自由の歌を
‘Cause all I ever have
僕が今まで歌ってきた全てだからさ
Redemption Songs
救いの歌

引用:歌詞 「Redemption Song」より
和訳 ふうでごう

洋楽の入口はビートルズであったが既に解散しており、ジョンに傾倒した矢先凶弾に倒れショックを受けた。(小学校の壁新聞で知った)
ほどなく80年代洋楽ブームが訪れビデオの無い時代(少なくとも我が家にはまだ入ってこなかった)小林克也氏の「ベストヒットU.S.A」から情報を集め
MJの「スリラー」はドーナツ盤でお小遣いを貯めて買った。あんなにヒットするなんて。デビッド・ボウイやクイーンに触れるうちに70年代洋楽も聴くようになりクリームからのクラプトンにたどり着きルーツのブルースにもいったが、『I Shot The Sheriff』によりボブ・マーリーを知ることとなった。クラプトン版はもちろんカッコいいのだが、ボブのそれに魂を奮わされた。レゲエの神様、その生きざまにも惚れた。しかし知った時にはすでに天に召されていた(ジョンが亡くなった翌年だ)。いまやレゲエのリズムは様々なジャンルの音楽に浸透している。
スカのリズムがジャマイカの太陽と民衆の魂の熱によって(暑さで)スローになりレゲエのリズムが誕生したと当時聞いたが、本当かな?

「ジョン・レノン失われた週末」、「ボブ・マーリー:ONE LOVE」と鑑賞後は満たされた気分になった。


                     (text by 電気羊は夢を見た)



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