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【ネタバレ】パラサイト 半地下の家族 僕はこう解釈してみた

パラサイト 半地下の家族

見終わった後に感じたのは「これ、どこまでが現実?」ということ。

言ってしまえば映画だし、フィクションなので全部非現実なんだけど、この場合「物語上の現実と非現実の境目」はどこから?という話。

⚠️ここから結末のネタバレを含みます⚠️






……そろそろ大丈夫かな。




どこまでが現実だったのか?という話。

ダソンの誕生日に事件が起きたあと、色々あって長男があの家を買い取り、お父さんが地下から出てくるシーン、あれは明らかに妄想だとわかる。あれは手紙に書かれた「長男の計画」だから。

じゃあ、お父さんが地下で発信していたモールス信号の手紙は?
いくらすることないからって、あんなことする?長男が気付く確率激低では?

そう考えると、「お父さんは地下に隠れていて、息子だけにわかるメッセージを送っている」というのも、息子の妄想かもしれない、と思えてくる。

長男は事件の最中に水石で頭を殴られて(2発)、事件後も一時期頭がちょっとヘンになっていた。

公判中も、妹の遺影を見ても、ずっと笑っていた。

その後なんやかんや正気を取り戻し、母親と暮らしながら時折山に登って双眼鏡であの家を覗き見るのが日課になっていた。

心のどこかで「そうであって欲しい」と願った長男が見た妄想なんじゃないのか?

などと考えていると、お父さんの手紙の中に「地下にいると、全てがぼやけてくる。どこまでが現実だったのかわからなくなる」というくだりがあったことを思い出す。

このくだりが、この映画自体を指しているとすると、どこまでが現実で、どこからが妄想なのか、ますますわからなくなってくる。

事件後、長女も長男も亡くなっていて、それ以降のシーンは、逃亡中もしくは捕まって刑の執行を待つお父さんの妄想、というパターン。

地下の住人が、最後に復讐を果たすことを夢見て事切れたパターン。

「地下」を、あの家の地下シェルターだけではなく「半地下」も含めると、そもそも全てが長男の妄想、というパターン(水石を受け取って「象徴的だ」以降が妄想)。

さらに解釈を広げると、避難後のシーンでお父さんが「計画は無駄。失敗しないためには無計画こそが計画」と言っていたのを考えると、超格差社会になった韓国で、人生計画が全く見通し立たなくなった人々が、成功を夢想しながら現実を生きていく話、とも解釈できるかもしれない。
最後のシーンは、半地下から窓の外を見上げるシーン。あの風景は、韓国の貧困層が普段見ている風景。
彼らは、叶うことのない夢のような計画を日々夢想しながら、辛いその日暮らしをなんとかやりすごすしかない人生を送っている。そんなメッセージを監督は伝えたかったのかもしれない(そうじゃないかもしれない)。

なんてことはあくまで自分の解釈だし、そうともとれるし、そうしゃないともとれる。色んな解釈ができる余白を残した終わらせ方がすごくいいなと思った。

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