ヒッチハイク/ドトールのタピオカ

 初めて日記を書かずに寝てしまった。

 起きてから昨日のことを思い出そうとしてもあまり出てこない。

 とりあえず当日中に日記を書いたていで進めます。「てい」って、漢字で書くべきなのだろうか。

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 今日はすごい歩いた。

 まず、隣駅に電車で行って、そこからなんとなく歩いていたら、最寄り駅とさっきの隣駅のちょうど真ん中くらいまで来ていて、引くに引けない状況となってしまった。

 ぺたんこのパンプスで歩いたのに加えて、その前にショッピングモールの周りを散歩してしまっていたので、もう足が痛くて痛くて仕方がない。それに、携帯の充電も残り5%というではないか。こんなにも真剣にヒッチハイクを検討することは後にも先にもないだろう。

 散歩をしていただけだったが、なんとなく昼ごはんを食べるタイミングを逃してしまったので、夕方になって、久しぶりに開いたドトールコーヒーに立ち寄った。

 色々巡っていたら4時間以上歩きっぱなし、昼前から飲まず食わずのこの体には、ドトールの美味しいタピオカ(黒糖ミルク)を献上すべきだろうと考えたのである。

 適切な距離をとって、前の2人に続いて並ぶ。2人とも、タピオカ(味までは分からなかった)を頼む。やっぱり人気なんだな、と思いつつ、自分も「タピオカ黒糖ミルク、ひとつお願いします」と頼む。なんとなくだが、前の人と同じものを頼むと、変な客だと思われずに済みそうで安心する。

 しかし、

 「お客様、タピオカは本日売り切れでーー」

 どうしてこうなるのか。思い返せば、私は前にも同じ店で、タピオカは売り切れだと告げられたことがある。そのときも、私の前の客は美味しそうなタピオカを持って席についたではないか。

 見たでしょう、今日の私はあんなに歩いていたじゃない。それに、私は他の駅で見たドトールを素通りして、久しぶりだからわざわざここの店を選んだというのに。そう言いたかったが、言ってもどうしようもないので、「じゃあ、大丈夫です……」と消え入りそうな声で断って店を後にした。

 何か他のものをとも思ったが、それが好きというよりは、飲食を同時にできるものを探して、私はタピオカを飲もうと決めて入ったのである。コーヒーをメインに売るドトールコーヒーに来ておきながら、タピオカの代わりにコーヒーを頼むことをしないのはいかがなものかと自分の中でも賛否両論だったが、私は今日タピオカを飲みに行ったのだ。そこについては私は後悔していない。

 ドトールに行く前に本屋に寄らなければ、という後悔はあるが、飲めなかったタピオカ(黒糖ミルク)がドストエフスキーの「罪と罰」にかわった(金額も同じくらいなので)と思えば、今日のことは受け入れられなくもない。

 しかし、タピオカは一瞬だが、ドストエフスキーは長い時間かけて読もうと考えているので、得したようで騙されているような気もする。

 とりあえず確かなのは、ドトールのタピオカ(黒糖ミルク)が、私にこんなに長文を書かせるほど美味しいという事実のみである。

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 最後まで、ありがとうございます。

文明

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