【映画】「ウォーデン 消えた死刑囚」感想・レビュー・解説

内容に入ろうと思います。

舞台は1966年のイラン。とある刑務所が空港の滑走路建設のために移転することとなり、所長であるヤヘド少佐が、死刑囚を含む囚人を移送する任務に当たっていた。
この日、所長には様々な事態が降り掛かっていた。移送任務をしながら、壊れた死刑台の修復を依頼し(依頼した男が、死刑台は作りたくないと言ってごねている)、さらに警察署長への栄転も告げられる。警察署長になるための地位がまだ低かったこともあり、ヤヘド少佐はこの大抜擢に大いに喜ぶのだが、それも束の間、信じがたい情報が飛び込んでくる。
なんと、移送先で死刑囚が一人足りないという。すぐに調べ、アフマドという死刑囚が行方不明になっていることが判明する。
まだこの刑務所にいると睨んだ所長は、職員を呼び戻し捜索に当たらせた。しかし見つからない。さらに追い打ちを掛ける事態が。空港建設は遅れに遅れているようで、刑務所の外に重機がやってきている。明日の昼までに取壊なさなければ間に合わないという現場監督に追い立てられ、17時までに引き渡すことを確約する。
もし見つけられなければ、警察署長への栄転は水の泡だろう。なんとしてでも見つけ出さなくては…。
というような話です。

面白くなかったわけではないのだけど、ちょっと物足りないなぁ、という感じがしました。たぶんそれは、「アフマドはどこに行ったのか?」という、主軸となる物語以外に、これというストーリーがなかったからだと感じます。

なんとなくの感触だけど、もう少し要素をプラスすることはできたんじゃないかなぁ、という気はします。この映画には、女性が一人登場するのですが(途中で「社会福祉士」だと自ら名乗るけど、結局最後までどういう人なのか謎だった)、彼女はもう少し物語に深く絡めても良かったような気がします。紅一点の登場人物だし、何かありげな雰囲気を出していたから、もうちょっと背景に何かあったりして物語に絡んでくるのかなと思ったのだけど、そこまででもありませんでした。公式HPを見ると、1966年というのはイスラム革命前という時代設定らしいので、何かそういう要素を入れ込んでもいいし、途中から物語の中に顔を出してくる「アフマドは無実だ」という要素についても、もっと物語の中で面白い扱い方が出来るような気がしました。

物語の展開の中で、割といろんな要素がチラチラ顔を出すのだけど、それらが続かないというか、一瞬物語に関わった後ですぐ消えてしまうなぁ、という感じでした。舞台設定、状況設定ともになかなか興味深いと思ったので、今のままで既に出てくる様々な要素をさらに上手く組み合わせていけば、より魅力的な物語の展開ができたんじゃないかなぁ、と思うと、ちょっと残念な感じがしました。

普段こういう感想を持つことはないんですけど、ちょっと脚本が甘いような感じがしました。

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