【映画】「日本独立」感想・レビュー・解説

内容に入ろうと思います。
ポツダム宣言の受諾直前の日本から、新憲法を制定するゴタゴタを描き出していく。吉田茂外務大臣に請われて、GHQとの折衝を行うことになった白洲次郎。しかし、国務大臣の松本烝治が、天皇の扱いや戦争(自衛権)の放棄などに強硬に反対し、GHQとの折り合いがつかない。
一方、戦艦大和で自爆的な作戦に従事しながら、なんとか生き延びた吉田満は、しばらく何も出来ない心境だったが、自身の経験を小説に記す。
戦後の日本を、そして現代に至るまでの日本に多大なる影響を与えた出来事を映像化。

なんというのか、個人的には、焦点がちょっとぼやけている映画だった気がするなぁ、と思う。

これは恐らく、僕に歴史の知識がないことも関係しているだろう。こういう史実を(しかも、非常によく知られた史実を)物語に落とし込むのは難しい。観る側の知識をどこまで前提にするかを決断しなければならないからだ。一般的な情報をあまり入れすぎると、歴史に詳しい人は退屈だし、逆に入れなさすぎると、僕のように歴史に詳しくない人は置いてけぼりになる。

この映画は、どちらかと言えば、一般的な情報が少ない作品だったと思う。だから、歴史に詳しい人が観た場合は、また違った感想になるかもしれない。でも僕には、うまく捉えきれなかった。

たぶんその最大の要因は、吉田満(吉田茂ではなく)が登場するという点にあると思う。僕の拙い知識では、「憲法改正にゴタゴタする吉田茂や白洲次郎の物語」と、「命からがら戦場から戻ってきて小説を発表した吉田満の物語」が、どう折り重なるのかよく分からなかった。もちろん、ストーリー上の繋がりは分かる。吉田満の小説は、GHQの検閲により公表できないとされ、それをなんとかしようと白洲次郎が奮闘したらしい。しかし、それが、憲法改正の話とどんな風に関係するのか、僕にはイマイチ捉えきれなかった。まあきっとこれは、僕の知識不足・理解不足の問題だろう。

あと、どうしても気になったのは、物語の構成上仕方ないのかもしれないけど、なかなかの日本の名優が多数存在する映画であるのに、外国人があーだこーだしている場面が非常に多い。映画製作の経験もないくせに勝手なことを言うけど、別に外国人の登場シーンは、うまくやればもうちょっと圧縮出来たんじゃないかな、と思う。外国人の登場シーンは、どうしても入れ込まなきゃいけないほど重要なシーンは少なかったような気がする。たぶん「実力派」と呼ばれるだろう俳優さんたちがたくさん出ていたけど、全体の登場シーンで言えばそれぞれ非常に短くて、ちょっと物足りない気がしました。

あと、これは僕が勝手にイメージしてただけですけど、「白洲次郎が活躍する映画なんだろう」と思ってたので、案外そうじゃなくてちょっと残念でした。「活躍」はともかくとしても、登場場面がさほど多くないなと。浅野忠信が演じていた白洲次郎は、結構好きなタイプのキャラクターだったから、もう少し白洲次郎が中心軸にいる物語の方が、個人的には楽しめただろうなぁ、と思います。

全体的にちょっと、消化不良な感じがしてしまいました。

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