【映画】「クシナ」感想・レビュー・解説

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観終わって感じたことは、状況の説明がちょっと不足しているんじゃないかなぁ、ということだった。

ラスト、なかなか良い感じのクライマックスになる。しかし、そのクライマックスをちゃんと理解するための背景が、僕にはうまく捉えきれなかった。

彼女たちが住む集落に関しては、なんとなく理解できたが、「クシナ」「カグウ」「オニクマ」の関係性がちょっと分からない。もちろん、「親子」という関係性は理解できるが、彼女たちの間にどんなわだかまりや問題があるのかということが分からない。そこがうまく理解できないから、ラストの熱量のあるあの場面に対して、どう感じればいいのかが分からなかった。

彼女たちの間に、何かがあることは、ところどころでのやり取りから理解できる。でも、そのやり取りだけから、彼女たちの間に具体的にどんなことがあったのか、僕は想像出来なかった。

もちろん、勝手な推測は色々出来るかもしれないし、この映画の描かれ方だけから、的確に何かを捉えることが出来る人ももちろんいるだろう。この映画は、そういう、受け取り能力の高い人向けに作っているんだ、ということであれば、僕は適切な観客ではなかった、ということだから別に問題はない。

でもなぁ。映像は結構キレイで良かったと思うけど、芸術的とか、小説で言う文学的みたいな感じでもない。僕としては、そういう芸術とか文学とか方面に振った映画という感じじゃないと思ったんで、だとするとやっぱり、ちょっと説明不足な気がしてしまった。

世界観は結構好きだったので、その背景的な部分がもうちょっと理解できたら良かったなと思ってしまった。

内容に入ろうと想います。
人類学者のカザマは、山岳部員であるハラダ君と共に、山奥にあると言われる女性だけの集落を探していた。彼女は、人類学に生涯を捧げている。人間の営みに対して美しさを感じるといい、特に、閉鎖的なコミュニティで生きている人たちの中に、その美しさを感じる瞬間があるという。
一方、カザマが探しているまさにその集落は実在し、女性ばかりが住んでいる。外界で苦労した女性たちの避難場所のような場所であり、オニクマという女性がここでの生活を取り仕切り、守っている。オニクマの娘であるカグウ、そしてカグウの娘であるクシナと3人で生活し、オニクマの娘であるカグウも自然と、集落の中心的な存在になっている。
まだ幼いクシナは、ソニーのウォークマンを片手に森で遊んでいる。そんな折、クシナは、カザマにその姿を見られてしまう。結局、その集落を探し当てたカザマとハラダは、しばし集落に泊まることに。久しぶりに見る男に集落はにわかにざわつく一方で、女性であるカザマは集落の女性から避けられている。そんな彼女が接触を試みるのが、山で一人遊んでいるクシナだった…。
というような話です。

映像もキレイだし、物語の設定も良いし、全体の雰囲気も良かったと思うんだけど、やっぱり、クライマックスを含めて、物語全体をうまく捉えきれなかったのが残念だったなと思う。僕みたいな人間には、もうちょい説明してくれないと、理解できないんだなぁ。

カグウ役の女性が非常に良い雰囲気で素敵だった。何があったのかは分からないものの、この集落で生きることの絶望なのか諦念なのか落胆なのか、そういう何らかの業のようなものを背負っているような雰囲気を、絶妙に醸し出していると感じました。

僕が行った上映回には舞台挨拶があり、クシナ役の女性も来ていたのだけど、撮影が5年前だったようで、今月で14歳になったそう。しかし、そう言われなかったら全然気づかないほど大人びた感じの人でびっくりした。

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