【映画】「15時17分、パリ行き」

内容に入ろうと思います。
15時17分、パリ行きの列車内で、銃器を携行した男に立ち向かった男たちがいた。
アンソニー・アレク・スペンサーの三人は、小学校の頃からの“悪友”だ。いつも校長室に呼ばれて、問題児扱いされていた。彼らは、引っ越しなどで離れ離れになってしまったが、その後も連絡を取り続ける関係が続いていた。
アレクとスペンサーは、軍に入隊した。彼らはそれぞれの役目を担ったが、スペンサーは軍内での自分の在り方に不満を抱えていた。元々、パラレスキュー隊を希望して、奮闘の末肉体を絞り軍に入隊したにも関わらず、ある適性が足りなかったせいでパラレスキュー隊を希望することが出来なかった。スペンサーはヤケになったが、子供の頃に「私を平和の道具にしてください」と神に祈りを捧げていたように、人の役に立つことをしたかった彼は、望んだ任務ではなかったが、与えられた役割を全うしようと努力した。
スペンサーの提案で、アンソニーと二人ヨーロッパへ旅行をすることになった。イタリアで美女に声を掛け、アムステルダムで魅惑的な夜を過ごした彼らは、途中で合流したアレクと共に、予定通りパリへと向かうことにした。
その車中―その事件は起こった。
というような話です。

最近観る映画は、事実を元にした作品が多い。僕が意識的にそういう作品を選んでいるということもあるだろうが、やはり欧米の作品にそういうタイプの映画が多い。日本の映画だとあまり、事実をベースにした作品を見かけることがない。日本の場合、映画というよりはドキュメンタリーというテイストになってしまうことが多い印象がある。そして、ドキュメンタリーだと、なかなか多くの人の目に触れるように上映することが難しいのかもしれない。

僕は、自分の人生や日常のことに大して関心はないのだけど、「知りたい」という欲求は結構強い。自分が今まで知らなかった事柄、特に、そういうものが存在することさえ知らなかったような出来事について知ることに、強い関心がある。

映画の中で触れられていたように、彼ら4人(映画でメインで描かれていた3人に加えて、もう一人車内で重傷者を救うために奮闘した人がいた)はフランスから勲章が与えられたし、アメリカ国内でも大きく取り上げられたようだ。しかし、僕はこの、一般人がテロを未然に防いだという事実を、たぶん今まで知らないでいた。世の中、そういうことばかりだ。知る必要のない、どうでもいいくだらないことは、テレビやネットを見ていればいくらでも知ることが出来るけど、人間が本当に知るべきことというのは、自分から意識して知ろうとしないとなかなか知ることが出来ないものだ。

『人々に知ってもらいたい。危機に瀕した時は、行動すべきなのです』

勲章を授与された際、3人の内の一人がそう語っていた。僕は、いざ自分がそういう立場に立たされた時、行動できるかどうかは分からないけど、自分を危険に晒しても誰かを助けることが出来たらいいなぁ、という気持ちはある。だから僕にも、「私を平和の道具にしてください」と神に祈っていたスペンサーの気持ちは、分かるつもりだ。自分なんかに大したことが出来るわけがない、と思っているからこそ、いざという時ぐらい、行動できる人間でありたいなと思う。

正直なところ、「この話は事実が元になっている」という部分以外で、映画として何か特筆すべきことがあったとは感じられなかった。誤解しないで欲しいのだけど、決してこれは映画を貶しているわけではない。事実の強さを伝えることが出来るというのも、映画の持つ役割だし、そういう点でこの映画は力強さを発露している。

もしかしたら知らないで観た方がいいかもしれないから、ここでは書かないけど、僕はこの映画の実に特異な点を知らないで観た。観終わっても、気付かなかった。ライトが点いた後、映画館で観客の一人が、「◯◯って◯◯だったよ」と言っていて、それを耳にして「嘘っ!」と思った。で、家に帰って調べたら、本当にそうだった。いや、驚いた。確かに映画の最後の方で、あれっ、とは思った。でも、その違和感はすぐスルーしてしまった。だって、まさかそんなことをするなんて、想像もしなかったから。もしかしたら、知った上で観た方が面白い可能性もあるから、気になる方はネットで調べてみてください。この映画に関する何かしらの記事を見つければ、たぶん書いてあると思います。

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