【映画】「犬は歌わない」感想・レビュー・解説

久々に、凄くつまらない映画を観た。

ただ、「つまらないこと」そのものは、大した問題じゃない。どんな作品であれ、合う合わないはあるし、自分に合わない作品が「ダメ」というわけでもない。

しかしこの映画は久々に、意図が分からない映画でもあった。何を撮りたい映画なのか、イマイチ理解できなかった。

映画の核となる部分は、割と面白かった。この映画では、初めて宇宙へ行った生物である犬が描かれる。ソ連がロケットで飛ばした「ライカ」である。

そして、恐らく当時の実際の映像なのだろう、科学者たちが白黒映像の中でいろいろやっている場面が挟み込まれる。

この、実際の映像は、非常に興味深かった。

犬を回転装置に乗せて、心拍数を測る。何やら手術をして、様々なデータを取るためだろう管や機器を取り付ける。実際に宇宙空間に飛ばされた後の船内での犬の映像。そして帰還して、歩きにくそうにしている犬。

こういう映像は初めて見るものだったし、「帰還した犬たちを交尾させ、きちんと子どもが生まれたことが、宇宙旅行の安全性を示すことになった」という事実も初めて知れて良かった。

しかし、映画全体としては、ロシア(おそらくモスクワ)の野良犬の様子が延々と映される。これがつまらなかったし、意図がイマイチよく分からなかった。

まあ映画の中で、「ライカは野良犬だった」「強くて勇敢に見える野良犬が選抜された」みたいなナレーションが差し挟まれるので、「ライカと同じ立場にいる野良犬を捉えている」ということは分かる。けど、「だから何?」とずっと感じてしまっていた。

野良犬たちを淡々と映す映像には、特別面白さを感じられなかったのだけど、一箇所、メチャクチャインパクトのある映像があった。野良犬が猫を襲い、なぶり殺しにしている場面だ(ネコ好きの方は絶対に見ない方がいい)。

僕は、犬の祖先はオオカミだし、野良犬ならそういう行動もするか、と思いながら見ていたのだけど、驚いたのは、どうやら食べるために猫を襲ったのではなさそう、ということだ。もちろん分からない、映っていない部分で食べているかもしれない。ただ、ワンカットでかなり長回しされたその映像では、猫を散々いたぶった後、飽きて捨ててしまったような感じでその場を後にする、みたいな場面で終わる。たぶん、食べてないんじゃないかと思う。

このシーンは、メチャクチャインパクトが強くて驚いた。しかし、それ以外のシーンは、退屈だったかな。

映画を観ながら考えていたことは、そういえば野良犬っていなくなったなぁ、ということだった。今は東京に住んでいるが、地方出身で、子どもの頃は普通に野良犬って見かけていたと思う。今ももしかしたら、都市部でなければ野良犬はいるのかもしれないけど、野良猫ほどメジャーな存在ではないように思う。狂犬病とかの対策で、何か手が打たれたりとかしているんだろうか?

という程度の感想しかない。

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