【映画】「ドントブリーズ」感想・レビュー・解説

いやー、メチャクチャ怖かった!
映画館の座席の上で、何度飛び上がったことか!

セキュリティ会社勤務の父(もしかしたら経営者なのかもだけど正確には分からない)を持つアレックスは、想いを寄せているロッキーと、その彼氏であるマネーの三人で、強盗を繰り返している。アレックスが父の書斎から盗み出す鍵を使って安全に侵入し、事を成し遂げるのだ。
マネーは、盗品の売却相手から耳寄りな情報を聞く。陸軍の退役軍人が一人で住んでいる家があるのだが、そこに大金がある、というのだ。かつてその家の娘が交通事故で亡くなった。加害者が金持ちの娘だったために、示談金としてかなりの額をもらった、というのだ。調べてみると、確かに情報は正しいようだ。近隣の家は空き家。しかもその退役軍人は盲目だ。仕事は楽勝に思えた。
しかし…。
いくつもの鍵がつけられ、窓には鉄格子が嵌められた要塞のような屋敷には、凶暴さを見せる犬まで飼われていた。彼らはなんとか侵入に成功し、大金が入っていそうな金庫にたどり着く。マネーが銃を取り出したのを見てアレックスは自分は降りると宣言して帰ってしまう。その後、ロッキーとマネーは家主に見つかってしまう。
銃を奪われたマネーは、そのまま撃ち殺されてしまう。クローゼットに隠れたロッキーと、銃声を心配して戻ってきたアレックスは、盲目の老人相手に生死を掛けた大脱出劇を繰り広げることになる。
生きて出たければ、音を立てるな。
というような話です。

観ながら、「とにかく早く終わってくれ」とずっと思っていました。ホントに怖い。冒頭でも書いたけど、何度も座席の上で飛び上がりました。大げさではなく。隣の席の人にも気づかれてる気がして恥ずかしい…。

強盗二人と老人の闘いは、「まだ先があるのか!」と思うような壮絶な攻防です。詳しいことは書きませんが、ここで映画は終わったな、メチャクチャな映画だったな、と思った後も話が続くんです。もうこれで絶対死んだわ、と思うところで生き延びたり、あーこれでやっと生き延びたね!っていうところからどん底に突き落とされたりと、とにかく予想外の連続すぎて疲れました(笑)。ホントに、もういいから早く終わってくれ、ってずっと思ってました。

しかしこの映画はホント、設定が絶妙だったな、と思います。盲目の退役軍人と要塞のような屋敷、という取り合わせで、ここまでスリリングな展開を生み出せるのか、と感心しました。目は見えてないから、銃を持った老人と強盗が同じ空間にいる、という場面も多々あるわけです。この緊迫感は凄まじかったです。老人は、人を殺すことにはためらいはないので、音を立てたら絶体絶命です。しかも、目が見えないとはいえ、フィールドは長年住んでいる自宅。二人いて目が見えるとはいえ、今日内部構造を知ったばかりの強盗たちとはなかなかいい勝負です。

しかも、途中で物語に新たな要素が加わります。これについても言えませんが、この要素も彼らの闘いを描く上で非常に重要なパーツになっていきます。というのも、この新たな要素が加わることで、「強盗が大金を盗む」という単純な構図から逸れ、老人・強盗双方にいくつかの選択肢が生まれるからです。ただ金を奪って生き延びる、というだけではない要素が加わることで、生死を掛けた闘いの中で彼らが悩む場面が出てくる。それも、物語全体を盛り上げる上で非常に重要になってくる。一つ要素を加えるだけでガラッと状況が変わるので、うまく考えたなと思いました。

物語全体はとにかくスリリングで面白かったんだけど、とにかくアレックスが可哀想だったなぁ。アレックスは当初、この計画に乗り気じゃなかったわけです。それなのにやることになって、しかもこんなムチャクチャな状況に放り込まれて、あぁ憐れである。

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