〈17〉葬式仏教は不滅か?
※文化時報2021年9月20日号の掲載記事です。
「安置葬」という見出しが目に飛び込んできた。本紙9月9日号である。運営会社の三村麻子社長は、以前からの知り合い。素晴らしいアイデアだと思った。と同時に、本紙記事に登場する人は「知り合いが多いなあ」とも感じた。仏教界や葬儀に関連する世界が狭すぎるのか、あるいは記事になるような人はやっぱり少ないのか。
先日ある会合で旧知の住職にバッタリ会った。かなり久しぶりだったことと、そこで出会うとは思わなかったこととで本当に驚いた。その会合にはプレゼンをするために行ったのだが、その住職がいたおかげで気分よく事が運んだ。
筆者は40半ばを過ぎて得度した。9才から得度できる宗派なので、年下の「大先輩」がたくさんいる。得度して間もなく、近隣の先輩から「お寺の世界は狭く、縦横のつながりが複雑に絡んでいるので、陰口は絶対にたたくな」とアドバイスされた。どこで知り合いとバッタリ会うのか分からないので、本当に気を付けようと思う。
わが国の仏教界はどこへ向かっているのだろうか?
「葬式仏教」と揶揄されながらも、その役割はまだまだ終わっていない。新しい葬送の形は出てくるが、仏式の葬儀が大多数であることに変わりはない。「福祉仏教」への転換は進まないのだろうか?
来月より「福祉仏教入門講座」第2期がスタートする。受講してくださる方は何を求めているのだろう。それが分からずに一方通行の講義では疲れるだけだろう。双方向の対話が大事となる。
筆者の率直な気持ちは、医療・福祉現場の困り事を、たくさんの僧侶に知ってほしいということ。その気持ちはこのコラムでもいえる。読者の皆さんに届いているのだろうか? 不安になる時もある。
「安置葬」を行う専用施設の写真が掲載されていた。大きな建物だ。大きな投資だったのではないだろうか? 機会があれば訪ねてみたい。疑問に思ったことは尋ねてみる。これからも続けて、文章にしていきたいと思う。(三浦紀夫)
三浦紀夫(みうら・のりお)1965年生まれ。大阪府貝塚市出身。高校卒業後、一般企業を経て百貨店の仏事相談コーナーで10年間勤務。2009年に得度し、11年からビハーラ21理事・事務局長。上智大学グリーフケア研究所、花園大学文学部仏教学科で非常勤講師を務めている。真宗大谷派瑞興寺(大阪市平野区)衆徒。
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