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核抑止論を退けよ

※文化時報2023年8月22日号掲載の社説です。

 広島は6日、長崎は9日、米軍による原爆投下から78年を迎えた。「核兵器のない世界」の実現を訴える広島出身の岸田文雄首相は、式典のあいさつやビデオメッセージで「核抑止論」から脱却できなかった。核保有国への過剰な配慮は、唯一の戦争被爆国である日本の立場をかすませる。失望させられる内容だったと言わざるを得ない。

 ウクライナへの侵攻をやめないロシアは核による威嚇を繰り返し、隣国ベラルーシに戦術核を配備した。北朝鮮はミサイル発射とともに核開発を継続しているとされる。中国と台湾の緊張も高まっている。

 核によって核の使用を思いとどまらせる核抑止論を肯定する人々は、こうした国際情勢を「厳しい現実」ととらえている。

 だが、本当に厳しい現実は、

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