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記録保存 理解広げよ

※文化時報2023年6月9日号掲載の社説です。

 最高裁だけに任せておくわけにはいかない。公共の財産である裁判記録を保存して活用するには、国民の理解が欠かせないことを肝に銘じるべきである。

 重要裁判の記録が各地の裁判所で相次ぎ廃棄されていた問題で、最高裁は5月25日、調査報告書を公表した。廃棄ありきの姿勢を示すなど、最高裁による不適切な対応が原因だったと認め、記者会見を開いて「後世に引き継ぐべき記録を多数失わせてしまった。国民の皆さまにおわびする」と謝罪した。

 一連の問題は昨年10月、1997(平成9)年の神戸連続児童殺傷事件の記録を神戸家裁が全て廃棄していたと報じられたことで明るみになった。宗教法人法に基づき、オウム真理教などに出された解散命令に関する記録も廃棄されていたことが分かり、宗教界も無縁ではない問題となった。

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