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外国で活躍するための資質は「バカであること」!?【2020/10/18放送_アーティスト 猪瀬直哉さん】

Fm yokohama(84.7MHz)から毎週日曜日深夜24:30~25:00にお送りするラジオ番組『文化百貨店』。今週は、先週に引き続き、アーティストの猪瀬直哉さんをお迎えして、作品を作るプロセスや、マルタ島のプロジェクトについてたっぷりお話をお伺いしました。

【パーソナリティ】
セイタロウデザイン代表・アートディレクター山﨑晴太郎(@seiy

【今週のゲスト】
アーティスト 猪瀬 直哉さん

1988年神奈川県生まれ。 猪瀬直哉は東京藝術大学の油絵科を卒業し、現在はロンドンを拠点として活動しています。 彼の作品の収蔵先には高橋コレクションやベネトン財団などがあります。猪瀬は、自然界とそこにおける人間の強欲な在りかた、それによって生み出される不調和な関係性を探求しています。細部まで精巧な風景と抽象的な世界を、油絵の技術によってキャンバスに描き出します。彼の作品は私たちがどう自然と向き合っているのかを問い、またポストモダニズムにおける名画の役割、そしてそれがどのように変化しているかについて議論しています。

【今週のダイジェスト】

▶︎猪瀬直哉さんの作品づくりのルーティン

1つの作品に、多くの時間をかけるという猪瀬さん。長いものだと、1作品に半年以上かけることもあるのだとか。一作品に長く携わるからなのか、ご自身でスランプを感じたことはないようです。

そんな猪瀬さんの現在の制作スタイルは、鉛筆でのスケッチから始まり、フォトショップで作成したデータを引きのばして印刷してキャンバスに敷き、それを下絵代わりにペイントしていくという流れなのだそうです。

このような制作スタイルにたどり着くまでには、時間がかかったようで、プロジェクターを取り入れてみたり、数々の試行錯誤を経て、確立したスタイルのようです。

▶︎海外で活躍を目指すアーティストを支援する『IAM』プロジェクト

現在は、ロンドンを拠点に活動をされている猪瀬さん。そのきっかけの1つとして、東日本大震災後、「アートを売るとか言っていられる雰囲気ではない」と感じたことがあると言います。

猪瀬さんの作品にモチーフとして何度も登場しているペンギンも、渡英してから見たドキュメンタリー番組がきっかけになったもの。日本にいたままで同じドキュメンタリーを見たとしても、ペンギンを自分のメタファーとして描くことは無かったと感じているようです。

猪瀬さんのモチーフに関しては、先週の放送で話しています。

最近、番組のポッドキャストもスタートしたので、こちらもぜひお聞きください。

今でこそ、拠点となるロンドンを中心に様々な国で活動をされている猪瀬さんですが、渡英当初はビザの発券や、部屋探し、学費など多くのお金や時間を費やしたと言います。また、アーティストの支援が盛んな国であってもスタジオを借りるために銀行口座の提示が必要になったりと、初めての経験ばかりで苦労も多かったようです。

そこで、海外でアーティスト活動を志す人が同じ苦労をしてほしくないという思いから、自身の経験を活かして、『IAM(=Institute of Art Marta-Language Program-)』というプロジェクトを立ち上げました。

地中海に浮かぶマルタ島に6か月滞在して、作品制作と英語を学ぶというIAM。ポートフォリオ審査に通過する必要がありますが、自由に制作活動ができる環境やアーティストやギャラリストによるアドバイスを受けることができると言います。

現在は、新型コロナウイルスの影響で募集がストップしているそうですが、落ち着いた段階でプロジェクトが再開されるようですので、気になる方は随時サイトをチェックしてみてください。

ちなみに、長い海外での生活経験から、外国でも活躍するための大切な資質は「バカであること」だと猪瀬さんは考えているようです。差別のような言葉を投げられるケースもあるようで、それを気にせずに笑い飛ばせるようなメンタリティーが、文化の違う環境に馴染んでいくには必要だと感じているそうです。

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▶︎これから挑戦してみたいこと

discord Yohji Yamamotoとのコラボレーションも発表されている猪瀬さん。

このきっかけは、自身が所属されているGINZA SIXにあるギャラリー・THE CLUBの方を通じた縁があったと言います。普段、接することが少ないジャンルとのコラボから得る刺激も大きいようで、積極的に色々なものと関わっていきたいようです。

そんな猪瀬さんが今後、挑戦してみたい企画は、スイミングプールをモチーフにした作品を描いていることから、プールを制作してみたいのだとか。また、海外の美術館で展覧会を開催したことがないので、早く実現してみたいとのことでした。

そんな猪瀬さんは、山崎とコラボレーションとなると、商品や作品等の制作、展示会などのありとあらゆる可能性が思い浮かび、「これ」と番組中では選ぶことが難しいので、考える時間をくださいとのことでした。今後、動きがあれば、番組中で発表したいと思いますので、お楽しみに!

▶︎文化を伝える架空の百貨店でバイヤーをするとしたら?

最後に、毎回ゲストの方に伺っている「文化百貨店でバイヤーをするとしたら?」という質問への猪瀬さんの回答は、「ペインティング」。

猪瀬さん自身、「絵に対する愛がなければ、自分はどうなっていたのだろう?」という想いがあるそうで、絵画を裏切ることはできないということでした。

【今週のプレイリスト】

▶︎猪瀬直哉さんのリクエスト

『PRIDE オープニングテーマ』 高梨康治

▶︎山崎晴太郎セレクト

『Teardrops』 Massive Attack

といった所で、今週の文化百貨店はここで閉店となります。

来週は、アーティスト・デザイナーの篠原ともえさんをゲストにお迎えします!

【来週10/25(日)24:30-25:00ゲスト】

デザイナー/アーティスト 篠原 ともえさん

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1995年歌手デビュー。文化女子大学(現・文化学園)短期大学部服装学科デザイン専攻卒。映画、ドラマ、舞台など歌手・女優活動を経て、現在はイラストレーター、テキスタイルデザイナーなどさまざまな企業ブランドとコラボレーションするほか、衣装デザイナーとしても松任谷由実コンサートツアー、嵐ドームコンサートなどアーティストのステージ・ジャケット衣装を多数手がける。2020年、アートディレクター・池澤樹と共にクリエイティブスタジオ「STUDEO」を設立。7月に開催した「SHIKAKU -シカクい生地と絵から生まれた服たち-」では、サステナビリティと向き合い廃棄となる余剰の生地を余すことなく使い切る衣装作品などを展観した。

また日曜深夜にお会いしましょう。

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