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奈良戦


・今回の「はじめに」


近年のJFLでは、戦力が拮抗しているせいか、シーズンを通して中位層の勝ち点に差がつかないケースが多いです。

昨年はJ3への昇格ラインである4位、HondaFCの勝ち点22に対し「1勝の差」と言える勝ち点3差に8チーム。ライセンスを考慮しなければ、12位のチームまで、「あと1勝してれば昇格」という状況でした。同様に2019年シーズンも、30試合を経て5位と13位の勝ち点差が僅か5という結果になっています。

私たちも去年経験したとおり、昇格出来るか出来ないかは、目の前の1勝に懸かっていると言っても過言ではありません。


今節、奈良クラブとの試合は、どうにか勝ち点1を得た試合か、惜しくも勝ち点3を失った試合か。皆さん、考えることは様々だと思いますが、私として、まずは選手たちを称え、現状をポジティブに捉えたいと思います。



・信じられるチーム


試合後のコメントでは、鈴木翔大と坂田大樹の両選手が「この試合は負け試合だった」とコメントしています。順位差からも、今のいわきFCの立つ位置を考えても、引き分けで満足してはいけない、その通りだと思います。そして、今回の試合に限って言えば、球際や推進力といった面で、奈良クラブの方が、より力を開放できた試合となりました。


しかしながら、この試合の結末が引き分けで終わったこと、最後のゴールが決まったことは、決してミラクルではないと思います。

上手く運ばない試合でしたし、試合中は選手から強いフラストレーションを感じました。それでも目の前の出来事に対し全力で走りきれるのか、焦れずにやり続けられるのか、あの劇的な幕切れは、そういった詰めの部分でチームが一つの方向を向けたからこその結果に違いありません。


過酷な練習、崇高な理念、国内屈指の環境等々、いわきには信じる為の糧となる多くの材料があります。私達は、いわきFCの選手に課されているトレーニングが他のクラブより明らかに厳しいことを知っていますし、クラブスタッフの努力によって、クラブが持つ信念や進むべき道を明確に理解しています。だからこそ、いわきサポーターはいわきFCというクラブに誇りを持ち、いわきFCの選手たちに全ての信頼を置くことが出来ています。



少し話が飛躍しましたが、要約すると「あの難しい試合で最後の最後勝ち点を取れたのは、選手たちが普段頑張ってるからだよ!サポーターは選手を褒めるぞ!よくやった!」ってことを言いたいです。


信じられないような成功は、サポーターが選手たちを、選手たちが自分自身を信じ続けたからこそ起こる。



・得点+3、失点-12


いわきFCは昨年、15試合制で行われたJFLのリーグ戦を24得点、24失点、得失点差±0という結果で終えました。上の小見出しは、それに対し今年、15試合を終えた段階での比較の数字です。


やや得点を増やし、失点を半減させていますね。守備が良くなった、ということなんですけれど、もちろんそこは、後半に至るまで攻撃陣が攻めを貫いた結果であったり、シーズンを通した起用法であったり、様々な要素が絡んでいます。


まだ折返しにも至っていませんが、このペースを続ければ勝利は自ずとついて来るはずです。最多得点、最小失点、双方に期待したいと思います。



・今回のピックアップ選手


私は、コールリーダーとして、「サポーターが選手を信頼するプロセスの一助となる」ことが大きな役割だと感じています。選手が如何に努力しているか、時にデータを集めたりしながらサポーターに示すことで、「だからこそ、最後まで前を向いて応援しよう」という雰囲気を作ることが、選手の力になるんじゃないかなあと思っています。


そんな訳で、サポーターから選手への信頼をより強く感じる今シーズンは、非常に楽しく応援が出来ているのですが、今回は、「前半戦、サポーターからの信頼を最も多く積み上げた」と私が感じる選手をピックアップしたいと思います。



まず、本記事でも触れている通り、昨シーズンの課題として、攻撃と守備どちらの比重が高いかと言えば、間違いなく守備でした。セットプレーからの失点が特に多く、相手のセットプレーの都度、スタジアムから「これはやばいぞ」という雰囲気が出ていました。(これは私たちの反省点です)

昇格に向けては、守備の整備が急務。そんな理解の中で、今年の新加入は上位カテゴリからの加入が続いたこともあり、サポーターからの期待は彼らに向けられることとなります。


ここから、今回のピックアップ選手の話です。


昨シーズン、守備が課題と言われたチームにおいて、先発出場が4試合に留まった黒澤丈。本人の心中を察することは出来ませんが、非常に厳しい時間であったことは想像に難くありません。

更に、今年の開幕戦のCBには、徳島から加入の奥田雄大、大学覇者のキャプテン米澤哲哉が名を連ねており、彼らは加入当初から向けられていた期待に結果で答えることに成功しました。サポーターも、この2人を高く評価し、今シーズンの中枢戦力として認識したかと思います。


一つの転機となったのが、丈にとって今シーズン自身2度目の先発出場となる鈴鹿PG戦。鈴鹿と言えばエフライン・リンタロウ選手や藤沢ネット選手と言った、JFL屈指のパワーを持った選手を前線に抱えているチームですが、そんな鈴鹿の攻撃陣を空中戦で制圧したのが丈でした。


いわきFCは年を経る毎にカテゴリを上げ、その分加入選手のレベルも上がっていきます。だから、2年目になって花を咲かせることは凄く難しい。そして、サポーターからの評価を上げるというのも、得点という個の評価が得られないDF陣は時間がかかるものです。

そんな中で、鈴鹿戦から10試合弱、この短期間で彼に対するサポーターからの評価は爆増しています。失点数が減ったからだけではない、相手FWに襲いかかるような姿勢、対人の強さ、何よりサポーターが「魂が息吹いている」と判断した結果だと思います。


今シーズンのDF陣はとにかく層が厚いですが、黒澤丈の2年目の飛躍は、「個の活躍」以上の物をクラブにもたらしているのではないでしょうか。

この記事で「丈のこと沢山褒めるぞ~」って言ったら、なかじまから「わかる」って飛んできたので、多分、私の感想はそれほど間違ってないはずです。



・まとめの部分


残り17試合、選手たちの熾烈な争いは続いていきます。競争があるチームは強い。今回は私のnoteにとって本質的な話題だなあと思い、黒澤をピックアップしましたが、今年は前も後ろ中盤も個性豊かかつ強力な選手が揃っていますし、サポーターに自分が思うベストメンバーを選ばせたら、過去一多様になると思います。



今年も声が出せませんが、サポーターに出来ることは選手たちを信じ鼓舞し続けることに違いはありません。

これからも、熱く熱く、選手たちと共に戦っていきましょう。




最後に


奈良強い。フリアン監督が来日した辺りから調子が良くなってるけど、いわきに対しては強く行こうと指示が出ていてもそう上手くは行かないチームが多い中、就任後しばらくリモートで指揮をとっていた監督が、自身のビジョンを十分に落とし込めていることが解ります。

監督は「今はチームを作っている時期」と言い続けており、現状は14位に留まっていますが、今でこの感じだと、後半戦は全てのチームにとって脅威になることは間違いありません。シーズン終盤のアウェー奈良戦が、今節を超える熱戦となれば良いなと思います。

あと、次戦でHonda倒しといてください。




上遠野

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