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地上100m! 都心のオフィスビルにすむ謎の鳥を追え

Author:高野丈(編集部)

御茶ノ水の街を歩いていると、「ツリリリリー、ツリリリー」という不思議な声が上空から聞こえてくることがあります。見上げると、ビルのあいだを多くの鳥が飛び回っています。鳴き声の主はヒメアマツバメ。聞き慣れない名前かもしれませんが、どんな鳥なのでしょう。

ツバメではなくアマツバメのなかま

ヒメアマツバメは名前にツバメとつきますが、私たちの身の回りでよく見かけるツバメとは異なり、アマツバメのなかまです。ツバメとアマツバメはどちらも空をおもな生活の場にする鳥。似たような種だろうと思うかもしれませんが、大きな違いがあります。両種は分類上大きく異なり、科だけでなく目も違います。ツバメ科が約6000種からなる大きなグループ、スズメ目にふくまれるのに対し、アマツバメ科はアマツバメ目。祖先が異なり、進化の系統的に離れているのです。

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ツバメは燕尾が特徴

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ヒメアマツバメは浅い凹尾で、翼が鎌のような形

両種とも食事も水浴びも飛びながら行なうなど、空中が生活の中心。ただ、ツバメはよく電線にとまって休んでいますが、ヒメアマツバメではそういう場面をまず見かけることがありません。ツバメよりもさらに空中での生活に特化しています。とまるのは巣にいるときくらいです。
ツバメは民家や商店の軒先などに巣をつくって繁殖し、子育てが終わると去っていく渡り鳥(夏鳥)。これに対して、ヒメアマツバメは海岸近くの建築物に集団で巣をつくり、一年中生活する留鳥です。その生息地は、おもに太平洋沿岸などの限られた地域で局地的。住宅地でふつうに見かけるツバメと違って、身の回りでひんぱんに見かけることはありません。それが、なぜか東京の中心部、御茶ノ水のオフィスビルにすみついているのです。

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いくつかの営巣地を調査

ブンイチは、御茶ノ水のオフィスビルにすみついたヒメアマツバメに注目。このオフィスビルをもつ三井住友海上火災保険株式会社と共催で、御茶ノ水にすみついたヒメアマツバメの謎と不思議に迫るオンラインイベントを開催します(参加費無料)。

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編集部では、このイベントで講師を務める神山和夫さん(NPO法人バードリサーチ)と一緒に、御茶ノ水以外の営巣地を調査。神奈川県の海岸沿いや、東京西部の川沿いなどの営巣地を調べました。営巣地によって巣の材料や構造が異なるなどの違いがあり、その地域の条件が反映されていました。

また御茶ノ水のオフィスビルの巣については、一般の人は間近で見ることができないので、三井住友海上の担当者が撮影に挑戦しました。そして、ビル内高層階の小窓から至近距離で撮影することに成功! 建物の外からははっきり見えなかった巣の状態とその利用状況が見えてきました。オンラインイベントでは、こうして撮影した動画も紹介しながら、各地の巣と御茶ノ水の巣を比較、分析します。

ヒメアマツバメは、なぜ御茶ノ水を選んだのか。いつからすんでいるのか。今回のイベントでは、御茶ノ水にすみついたヒメアマツバメの謎と不思議に迫ります。

日時 :2022年1月28日(金) 19:00~20:30
講師:神山和夫(NPO法人バードリサーチ)
司会:高野丈(文一総合出版)
共催:三井住友海上火災保険株式会社・株式会社文一総合出版
参加費 :無料
定員:300人(先着順)
参加方法 :Zoomウェビナーを使用した、ライブの動画配信(オンライン)開催。Peatixのイベントページから要申込。
https://ecom-himeama.peatix.com/view
お問い合わせ:ECOM駿河台 03-3259-3135(平日12:00〜18:00)

Author Profile
高野丈(編集部)
文一総合出版編集部所属。自然科学分野を中心に、図鑑・一般書・児童書の編集に携わる。その傍ら、2005年から続けている井の頭公園での毎日の観察と撮影をベースに、自然写真家として活動中。井の頭公園を中心に都内各地で自然観察会を開催。得意分野は野鳥と変形菌(粘菌)。


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