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奇妙な事件で世間を騒がす「ニュースなカラス」と向き合ってきた鳥類学者の、観察の物語

Author:高野丈(編集部)

ブンイチでは、日本を代表する鳥類学者、樋口広芳博士(東大名誉教授、慶大訪問教授)のカラス本『ニュースなカラス、観察奮闘記』を発売しました。ニュースなカラスとは、奇妙な行動や事件を起こして世間をざわつかせるカラスのこと。樋口さんは入念な観察によって、謎を解き明かしていきます。

『ニュースなカラス、観察奮闘記』樋口広芳 著(文一総合出版) 2021年11月18日発売
「まさか! 鳥がそこまでやるか!?」蛇口をひねって水を出し、水量の調節までしてのける天才カラス。それを目の当たりにして驚愕した鳥類学者は、そのカラスの観察を続けることにした。そして……。
これまでも奇妙な行動を見せるカラスが、たびたび世間を騒がせてきた。石鹸やろうそくを盗むカラス、線路に置き石をする危険なカラスなど、そんな「ニュースなカラス」と現場で対峙してきた鳥類学者が、行動の理由と意味を実況風に紹介。読み終えるとカラスのイメージが変わり、身のまわりにも天才カラスがいるのではと、つい探してみたくなる。

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物語は3部構成。
第1部は2019年に論文発表した「水道ガラス」で、横浜市の公園に現れた「水飲み場でみずから水を出して飲む、浴びる」天才的なカラス、グミの物語。発表当時、国内外で大きな反響があり、正月番組で2019年に世界を驚かせた日本のニュースの5位に選ばれたほどです。今回は、今まで明かしていなかったくわしいエピソードも物語風に紹介。

第2部では、これまで巷で話題になってきた数々の「ニュースなカラス」たちをくわしく紹介。クルミを路上に置いて車にひかせる「車利用ガラス」。線路に置き石をしてしまう危険すぎる「置き石ガラス」。屋外の水飲み場から次々に石鹸をもち去ってしまう「石鹸ガラス」。神社の祠から火のついたろうそくをもち去り、草に埋めてボヤ騒ぎを起こす「ろうそくガラス」。ほかにも銀座・赤坂・六本木をハシゴする「グルメガラス」、銭湯に通う「銭
湯ガラス」など、「ニュースなカラス」たちをすべて網羅。観察仲間とともに現場の最前線で活躍してきた博士が、事件の顛末を語ります。

第3部では、カラスの生態や知能、ほかの鳥との違い、人とのかかわりなど複数の視点から、カラスという生きもの、生き方について解説。人間社会とカラスの未来について考えます。

2次元コードを使って、樋口さん撮影の「ニュースなカラス」の動画も見ることができます。なかには未公開動画も。

Author Profile
高野丈(編集部)

文一総合出版編集部所属。自然科学分野を中心に、図鑑・一般書・児童書の編集に携わる。その傍ら、2005年から続けている井の頭公園での毎日の観察と撮影をベースに、自然写真家として活動中。井の頭公園を中心に都内各地で自然観察会を開催。得意分野は野鳥と変形菌(粘菌)。


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