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野鳥が来る生活、おくってみませんか? 新刊『自宅で楽しむバードライフ』の紹介
冬のある日。わたしは客間でミラーレスカメラを構え、ファインダー越しに水鉢を凝視していた。Sさんの話によると、シジュウカラやヤマガラ、ルリビタキ、ツグミ、ヒヨドリ、キジバトなんかが毎朝近くの雑木林から飛んできては気持ちよさそうに水浴びしていくのだとか。
しかし、こういう時は、なかなか来ないものである。こちらの撮気(的なもの)が伝わっているのだろうか……
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都会の真ん中や住宅街でも、よくよく観察すると、案外いろいろな野鳥たちが暮らしていることに気づく。そして、彼らは限られた生活空間で居場所を求めている。庭に鳥を招くことは、そんな鳥たちの生活の一助になるとともに、私たちの生活に彩りと癒しを与えてくれる。自宅に野鳥がやってくる生活を実現するには、どうすればよいのだろうか?
私が編集を担当した新刊『BIRDER SPECIAL 自宅で楽しむバードライフ』(藤井幹・著)は、そんなコンセプトのもと、制作を進めてきた一冊。
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本書では、庭に鳥を呼ぶためにできることとして、巣箱や水場、バードフィーダー(エサ台)の設置方法を解説している。さらに、野鳥が好む実のなる木を植えたり、小さな生き物のすみかを作ることで自然と鳥たちがやって来るような庭づくりも解説。どんな鳥が庭に来るのか、どんな植物を植えればいいのかも紹介している。
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私はこの日、東京近郊の閑静な住宅地にあるSさんのお宅を訪れていた。誌面に載せる庭の写真を撮るためだったが、せっかくなので、野鳥の写真も撮りたいと考えた。目的は果たしたが、取材を延長して、水場の張り込みを開始。
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水場は、鳥が羽毛を清潔にしたり、水を飲んだりするのに利用される。お皿に水を張った簡単なものでもできる。あるいは、庭にある程度のスペースがあって、こだわりたい人は小さな池を作ってもいいだろう。本書を読めば、種々の水場の設置方法もわかる。
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水場の設置方法の一部を紹介
さて、庭に鳥を呼んだなら、当然観察してみたいと思うのが人情だろう。本書では、その方法も解説している。
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最近は、防犯やペットの安全用に無人カメラが比較的リーズナブルな価格で市販されている。これが使える。人間の代わりに監視を続け、水場やエサ台に来た野鳥を撮影してくれるのだ。24時間365日シャッターチャンスを逃さない。
この新しい観察方法の詳しい解説は、本書の目玉の一つだ。
無人カメラでは、動画撮影はもちろん、専用のアプリをダウンロードすることで、LIVE映像をPCやスマホで見ることもできる。著者の藤井さんとの打ち合わせの際、実際の映像(そのときは録画)を見せてもらった。シジュウカラが子育てをしている巣箱の中の様子が映し出されていた。巣材を運んでくる親鳥も、卵をお腹の下に入れて温める親鳥も、餌をねだる元気な雛たちも丸見えだ。小型のカメラならば、巣箱の中に設置することもできるのだ。編集部一番の鳥狂であるJは、それを見て「こんなのダウンロードした日には、ずっと見入っちゃうから、仕事にならないなあ」と言っていた。うん、それは困るので、お控えいただきたい。
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藤井幹・著『BIRDER SPECIAL 自宅で楽しむバードライフ』(p76-77)より抜粋
横にした机をブラインドがわりに身を潜めること2時間。少し離れた場所から鳴き声は聞こえてくるものの、なかなか水場まではやってこない。潮時か。そう思い、諦めて窓を閉める。すると、程なくして、ヒヨドリがやってきた。こちらの下心など、お見通しなのかもしれない。窓ガラスを隔てたすぐそこの水場でバシャバシャと水浴びを始めた。ガラス越しだが、ひっそり構えてシャッターを切る。しかし、残念。窓の反射が映ってしまった。
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この時は誌面で使える水浴びの写真は撮れなかったが、Sさんからは別の日に撮ったきれいな写真を提供していただいた。おかげさまでにぎやかな誌面になった。
本書では、庭作りの参考として、実践しているお庭紹介コーナーを載せている。Sさんのお宅のほかにも、バルコニーや池のある大きな庭での実例も掲載しているので、それぞれの状況にあわせてご活用してほしい。
Sさんの話によると、特に朝方は大人気で、鳥たちが柵にとまって順番待ちをしているらしい。周辺に緑があるので、結構いろいろな鳥が来るのだとか。朝起きて鳥たちのにぎわいを感じながら過ごす。なんて素晴らしい生活だろうか。
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Sさんのお宅を紹介したページ。ヤマガラやエナガ、ルリビタキまで水場に来る。
Author
須藤哲平
文一総合出版 編集部。今回が初めての担当本。まだまだ未熟な編集雛鳥。
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