掛川花鳥園スタッフのゆるゆる自由研究 【鳥のお引越し】
花と鳥とのふれあいが楽しめるテーマパーク、掛川花鳥園のスタッフによる、園内の鳥たちのディープな情報や楽しい実験をスタッフブログから集めたよりぬき連載。
当園のバードスタッフの仕事の一つに、ほかの動物園や水族館への協力があります。
この青いかわいらしい鳥、「コリーカンムリサンジャク」(以下、サンジャク
)も、「カワスイ 川崎水族館」が、2020年7月にオープンするため、施設の準備が整うまで預かっていた鳥
の一種です。
今月と来月は、そのお引越しの様子を前後篇でご紹介します!
動物の引越し
動物園業界で仕事をしていると動物を引っ越しさせたり、してもらったりする機会は結構ありますが、いつも気を遣います。
いちばん神経を使わなくてはならないのが「輸送用の箱」です。
鳥や動物をケガなく、安全に移動させるには何がいちばんよいのか、さまざまな心配が尽きません。いろいろ考え、今回起用する箱を決めました。
そう、段ボールです!!
いろいろ気を遣うと言っておいて段ボール!? と、イメージが悪いかもしれませんが、段ボールで輸送するにはいくつかいいことがあります。
1.使い捨て出来るので衛生的
2.どこでも安く調達できる
3.穴を好きに開けて調節できるので温度管理が楽
4.万が一、中で暴れても紙なので痛くない
5.隙間(スリット)がないので、はさまってを翼や足を痛めることがない
いいところがたくさんあります。もちろん、デメリットもあって、一部の鳥はかじって出てきてしまったり、水っぽい糞をする鳥だとふやけて破れてしまったり、入る鳥の大きさの制限があったり、そもそも上積み厳禁のため、業者に任せられないといったことはあります。金属製のケージはこのデメリットを解消してくれるので、鳥の状態や種類から使い分けています。そして、今回は段ボールになりました。
輸送する入れ物以外にも、輸送のためルートの確認から、時間配分、道路状況、天候、カワスイの受け入れ状況などさまざまな打ち合わせが必要です。
打合せ後にサンジャクを段ボールへ。
簡単にやっているようですが、スムーズな捕獲と輸送箱への移動はストレスの軽減につながるので結構大事です。
無事に箱に入れたら、輸送用の車両に詰め込みます。
輸送箱に布がかけられているのは、暗い方が鳥の生態的にバタバタしにくくなるからです。
細かいことですが、輸送中に事故が起きないような配慮ですね。
かれこれ1時間ほどで積み込みが完了し、出発の時間となりました。
とてもかわいらしい子だったので、この1時間の輸送準備の間にたくさんのスタッフが別れを告げにきました。
みんな名残惜しかったのでしょう。スタッフにも人気で、別れが辛くなると思い、名前をつけられなかったほどです。
【後編へ続く】
月刊誌「BIRDER」で「掛川花鳥園出張ガイド」を好評連載中!
BIRDERでは、さらに花鳥園の鳥たちについて、毎月いろいろなテーマで紹介する連載を掲載しています。楽しい漫画やイラスト入りで、会いに行きたくなること間違いなし!
BIRDER7月号の連載テーマは「水辺を優雅に泳ぐ鳥たち」
一見優雅に見えるハクチョウやコクチョウたちの意外に体育会系な一面について
紹介しました!
Author Profile
掛川花鳥園
掛川花鳥園は「花と鳥とのふれあい」が楽しめるテーマパークです。
広大な敷地の中に大温室やスイレンプール、池や牧場などを備えています。
冷暖房完備のガラスハウスは、夏涼しく冬は暖かく、全天候型なので雨の日でも安心。一年中快適な空間で花や鳥とのふれあいをお楽しみいただけます。
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