見出し画像

日本酒とキャバ嬢と


中目黒にへぎそば屋があった。へぎそばとは、新潟県魚沼地方発祥の蕎麦で、「ヘギ」といわれる器に盛り付けた切り蕎麦のことを言う。

へぎそば屋で、日本酒の魅力を知った。特に、純米大吟醸の久保田が、素人を夢中にさせた。百寿、千寿、万寿、碧寿、翠寿とあって、値段も味も違う。

日本酒は、純米酒、本醸造酒、普通酒の三種類で、今、流行りの吟醸酒は、希少な酒だが、原材料が純米酒もしくは、本醸造酒であることの条件さえ揃えば、酒税法上、吟醸酒と名乗れるそうだ?

「美味しいわ。初めて飲んだ」
由香里は、渋谷のスレンダーボディの外人っぽい顔のキャバ嬢だ。自分の馴染みの店に連れて来た。

営業トークで、喜びを表すような女ではない。正直に物事を言うので、色々な所に連れて行く。金を貯めて、海外留学したいと言うありがちな夢を抱いているが、堅実に貯金と勉強をしているようだった。

久保田の百寿から翠寿までのランク付けが、好きだ。百寿で満足する場合もあれば、由香里のように面白がる女には、百寿を飲ませてから、最高峰と言われる萬寿を勧める。
「めちゃくちゃ美味しい。大好き」
男は、この言葉を待っている。
由香里は、裏切らずに本気で楽しんでいた。
男だから、何とかしようと言う下心が無いわけでは無いが、それを上回る陽気さや元気さに圧倒される。男女とは、そんなものだと改心させられる。

お米の産地、新潟を代表する酒は、「久保田」や「八海山」、「越乃寒梅」などが有名ブランドある。その中でも、淡麗辛口は、関東人に人気だ。

本当は、ローカルブランドの地酒の方が、通には人気がある。日本酒は、ビールのように大手数社が独占的に市場を独占していない。だから、ご当地や地方地方で、銘酒が誕生している。それぞれに、個性が有る。

私は、素人だから、「上善如水」が好きだ。白ワインのように飲める。フランス人の友だちが来日した時、フルーティで飲みやすいと絶賛していた。

てなわけで、日本酒を飲み過ぎてへべれになってしまい、いつもの事だが、
「大将、お勘定」
「二万三千円です。いつもありがとうございます。」
その瞬間、目が覚めて、正気になる。
うーむ、またやっちまった。

酒と女で、現実に引き戻される。

「じゃあねー」
タクシーを拾って颯爽と帰る女。
とぼとぼと駅まで歩く私。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?