いま、〈声〉の時代から逸脱する——新たな上演のために
文芸批評時評・12月 左藤青
「今年の新人賞は数年に一度の豊作」
などと、偶然にも11月18日に解禁されたボジョレー・ヌーヴォーさながらの大袈裟すぎるキャッチコピーから書き始めてみてもいいかもしれない。なにしろ11月は、「新人」を強く意識させる月だったからだ。
文藝新人賞や野間文芸新人賞、群像新人評論賞といった新人賞が「解禁」されたのはいうまでもなく、また、5月に文學界新人賞受賞の九段理江、昨年11月に新潮新人賞を受賞した小池水音の受賞後第一作が掲載されたことも、紙面のフ