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2022年3・4月の記事

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過去記事は有料です。 2022年3月の記事を格納しています。 ①【文芸時評・4月】『文學界』から干されたオレがなぜかまた文芸時評をやっている件について(第一〇回) 荒木優太 …
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『文學界』から干されたオレがなぜかまた文芸時評をやっている件について(第一一回)

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震災後の時の経過の中で考えること――『ららほら2』「美しい顔」「当事者」

【書評】日比嘉高1.『ららほら』から『ららほら2』への道程に見る「つらさ」  文芸批評は今つらいところにいるなと、『ららほら2』を読み終え、あらためて思う。一冊目の『ららほら』が響文社から出たのは、2019年4月。B5判ハードカバーで259頁の、がっしりした本だ。クラウドファンディングで資金を獲得し、地域アート的に人のつながりをたぐりながら編んだ本だという。私の手元にあるのは第2刷で、初刊から2ヶ月後の6月の日付をもっている。この本は、東日本大震災で被害を受けた「当事者」や

東京の反逆――矢野利裕『今日よりもマシな明日 文学芸能論』への評

【書評】小峰ひずみせやな、もう五十年近く前のことになるけどな、あんたらも聞いたことある思うけど、このあたりは東京て呼ばれとったんや、いまでも東京人や名乗ってる人おるけどな、こいつらだけが東京弁、むかしのニホンゴやな、使こうとるわ、ま、和暦も西暦も使われてて、まだ天皇もおった頃やな、東の京都ちゅーくらいの意味やと聞いとるけどな、そうやな、時期はだいたい旧暦一九六八年あたりからか、大学解体ちゅー左翼運動があってな、東京にもたしか東京大学ちゅーのがあったんやけど、他の州と一緒やな、

耳ヲ貸スベキ!――日本語ラップ批評の論点――

第四回 ヒップホップ・フェミニズム/通俗性/革命的モワレ  韻踏み夫 「一人称」の「空虚」さゆえに、「自分が自分であることを誇る」という形式は、「自分が日本人・男性・異性愛者であることを誇る」というような反動的な意味作用を持つことになった。しかしその形式は善用もされうるものである。COMA-CHI「B-GIRLイズム」はその説明にこの上なく適切であろう。言うまでもなく、「B-BOYイズム」をもとに作られたもので、これが示しているのは、「一人称」という形式の「BOY」を「GIR