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尾崎翠のエドガー・アラン・ポー翻訳#1

1.尾崎翠による翻訳作品


作家・尾崎翠(1896~1971)は、1930年1月、文芸雑誌『女人芸術』にて、エドガー・アラン・ポー(1809~1849)の短編小説「モレラ」の翻訳を発表しています。『女人芸術』は、「匂い」(1928年11月)、「捧ぐる言葉」(1929年1月)、「木犀」(1929年3月)、「アップルパイの午後」(1929年8月)など、1930年前後の尾崎翠の作品発表の場のひとつとなっています。

尾崎翠の「モレラ」の翻訳は、現在では『尾崎翠全集』(稲垣真美編、草樹社、1979年12月)で読むことができます。
マニアックな方法としては、インターネット上の「国会図書館デジタルコレクション」でログインすると、上記の『女人芸術』1930年新春号を、なんと雑誌一冊丸々閲覧することができます。(国会図書館に利用者登録が必要)
まさか自宅のPCで閲覧できるとは思わなかったのでうれしい!!
装丁や挿絵、広告など、昭和初期のレトロな雰囲気が見られて味わい深いです。


2.原作・エドガー・アラン・ポーの「モレラ」


アメリカの作家エドガー・アラン・ポー(1809~1849)は、ゴシック・ホラー小説「アッシャー家の崩壊」や、世界初の推理小説といわれる「モルグ街の殺人」などで知られています。
そんなポーの短編小説「モレラ」は、ざっくりまとめると以下のようなあらすじです。

主人公は友人のつきあいで出会った女性モレラに不思議な魅力を感じ、二人は結婚する。モレラは非常に博学であり、特にドイツの古典的な神秘主義の研究をライフワークとしていた。モレラの導きに従い主人公もその研究に没頭するが、徐々にモレラの呪術的な教えに嫌悪感を抱くに至っていた。
そしてモレラは衰弱して亡くなると同時に娘を産み落とす。主人公は娘を溺愛し、娘は異常な早さでモレラと瓜二つに成長する。娘を社会から隔離して育て十年が経ったころ、ようやく洗礼式を行って名前を贈ることになるが…

…というような、ポーの他の小説にもよく出てくる、怪しい魅力を持ち、破滅に導く女性の怪奇譚のひとつという感じの作品です。

尾崎翠の翻訳にかかわらず、とりあえず短編「モレラ」を読みたいかたは、こちらの文庫本が入手しやすく、他の有名作品が多数収録されていておススメです。

この『ポオ小説全集』(創元推理文庫)は全部で4冊あり、「モレラ」は1巻に収録されています。
私も数年前に4冊とも全部読みました!

3.翻訳を追体験してみよう!

「モレラ」を尾崎翠が翻訳するとどんな風になるのか、じっくり読んでみたい。がんばって英語の原文と照らし合わせてみようか…
      ・・・
というより、
自分も「モレラ」の原書を自力で翻訳してみよう!
さらに、翻訳したものを尾崎翠っぽく文体模写して、どれだけ尾崎翠の翻訳に近づけるかやってみよう!

…という遊びを思いついてしまいました!

とにかく、「モレラ」の原書(英語)を見てみようと、Amazonでこちらを入手しました。

「モレラ」のみ収録された薄い冊子で使いやすいです。小説のあらすじは知っているし、本文は全体で8ページと短く、どうにかなりそうと希望が持てます。

①原文をすべて一通り直訳する
(『尾崎翠全集』は封印し、尾崎翠の翻訳は参考にしない!)

②直訳過ぎて不自然な箇所を自然な日本語に修正し、全体に話の意味が分か
 るように整える

③自分の日本語訳を、尾崎翠文体模写風に修正する
   ↓
  完成!!!

という流れでこれからやっていこうと思います!







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