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【本】生命式

夫も食べてもらえると喜ぶと思うんで――死んだ人間を食べる新たな葬式を描く表題作のほか、村田沙耶香自身がセレクトした、脳そのものを揺さぶる12編。文学史上、最も危険な短編集!

読み終わってから表紙を見ると、これは高級人毛の家具かしら?となりました。不思議な世界観。これからそんな世界が来てもおかしくない、その時にその変化についていけるかが人生を楽しむ鍵な気がします。どの話も面白いので少しご紹介。

・生命式
人が死んだら生命式を開いて人肉をふるまう。人肉を食べた人同士でペアを見つけ「受精してきます!」と宣言をし、近所の路上で受精する野生の動物に戻ったような、それが“普通”な世の中。生まれた子どもは家族で育てる人もいるけどセンターに預けセンターで育つ子も多い。今の常識では測れないけどあってもおかしくない世界。

・素敵な素材
死んだ人の骨、爪、髪の毛、皮膚を使った家具や食器などの道具が高級な世界。髪の毛を編んだ高級セーターをローンで買ったナナだが、婚約者が人毛や骨の家具を“気持ち悪い”と嫌う。彼の実家で結婚式の準備をしていたら、彼の亡き父の皮膚で作ったベールをぜひ使ってほしいと出してきた彼の母。人を使った道具が嫌いな彼はどうする!?

・素晴らしい食卓
テーブルの上に並ぶ魔界都市ドゥンディラスの料理、ハッピーフューチャーフードの高級レトルト食品、虫の甘露煮三種。それを見て妹の婚約者が「これこそが、僕が今日、見たかった光景なんです」「皆が、それぞれの他人の食べ物を、気持ちが悪い、食べたくないと思っている。それこそ正常な感覚だと、僕は思うんです」
このシーンが一番好きです。この後、婚約者の偏食が明らかに!?

・街を食べる
偏食で野菜を食べない理奈。ある時体調を崩して2日間寝込み、食欲が戻った来たので買い物しようと外に出たら元気なタンポポを見つけ突如激しい空腹感に襲われる。タンポポを根ごと引っこ抜き本能のまま料理し食す理奈。それから毎日仕事帰りに雑草を持ち帰り食べる生活に!
雑草料理に憧れる私にはなんともきらめく世界間でした。

#生命式 #村田沙耶香

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