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入院が遅れた理由

夏ごろに手術になると言われた、まだ春ごろ。

すでに暑くて車の中でエアコンを切って電話をしたら
だらだら汗をかいてしまったことを思い出す。

入院が遅れた理由は結論から言うと
病院のシステムエラーで連絡が漏れたとのこと。

手術の段取りが決まれば電話が来ると言うことになっていた。

その電話をずっとずっと待っていた。

職場の人にせっつかされて暑い日に問い合わせの電話を一度した。

「順番にかけているので、かかってくるまで待ってください。」

忙しいのにお手間をかけてしまった。
わたしはおとなしく待つことを選んだ。

毎日聞かれる、
「電話きた?」「電話きました?」
家族や年上の先輩や年下の先輩などに。

一回かけたし、もう一回問い合わせるには
わたしの元気がなかった。

待つことをわたしは選んだ。

段々周りもわたしを病人扱いしなくなった。
はじめは優しい言葉や気遣いもあったが、
なんと言ったって体は告知前と何も変わらない
いつものわたしがいるから。

段々普通にシフトも増えるし、
いつもの雑な扱いも増えてくる。

すると自分も忘れてくる。

あれ、わたし乳がんだったっけ?
電話なんか来なかったらいいのに。

もしもほおっておいたらどうなるのかな。
知らないふりでいたら例えば40代くらいで
命は本当に終わってしまうのかな。

電話で問い合わせる時間なんて取ろうと思えば
毎日いくらでもあった。
それをしなかったのは何を隠そう、張本人のわたし。

もう秋の季節がさしかかる時、
職場の上司が「あまりにもおかしいよ電話してみたら?」
「時間がかかるならセカンドオピニオンとかさ。」

あまりにも他人の意見で動く自分で恥ずかしいけど
そこでやっと電話をかけて問い合わせをして
ことの顛末を知った次第。

怒りは全くなかった。
だってわたしも逃げてたもん。

先生や看護師、受付などのスタッフの人たち
本当に皆さん親切でその優しさがどれだけ患者を助けているか
いつも本当に感謝しています。

悪意があったならそれは家族のためにも
怒らないといけないと思うけど、そうじゃないから。

こういう時にふと思う、
日頃の行いで許されないこともあるって。

家族は大激怒して勝手にクレームまで入れてしまったけど。

がん患者の家族も第二の患者である。

乳腺クリニックでもらった冊子

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