見出し画像

少女のように

結婚というのはふたりだけの問題ではなく、相手の家族と繋がるということであり、それは喜ばしいことばかりではなくて、たくさんの思いもよらないの問題が生じたりする。

その問題のなかでも、お金のことは実にやっかいだ。いいひとばがりが損をする。

Sさんの結婚も自分たち以外の問題がたくさんあった。親戚の金の無心にほとほと疲れ果て、そのひとたちと縁を切るには……と考え、離婚を選んだ。

そして、腕に覚えのある技術を生かす仕事につき、再婚もしないで女手ひとつで一人息子を大学院までいれ、教職につかせた。

そんなに聡明でなんでもできるのに、Sさんの自己評価は低い。それは謙虚さもあるが、ある意味、理想が高いのだろうとも思う。

「もしも誰かが自分をすきになってくれたとしても、こんな自分をすきになるなんてって思うから、そのひとのことすきになれない」

そんな言葉をかなしく聞いた記憶がある。

今ではシングルなのだから、思う存分、自由に遊べる立場なのに、夕方になると早く家に帰らなくっちゃと思うのだそうだ。

それは小学校からミッション系の女子校に通った彼女の背骨をまっすぐ貫く躾なのだろう。

60歳が近いSさんの少女のような横顔。

読んでくださってありがとうございます😊 また読んでいただければ、幸いです❣️