痛む

あたしのまわりには何人か、超能力みたいなものを持つひとがいる。うそみたいだが、いる。親族だったり友人だったり、知り合いのおかあさんだったりするので、その能力の話は聞いている。

実際、一緒にいるときに、曲がってくるタクシーを指して、「なんか気持ち悪いから、後ろにさがろう」と言われて下がったら、そのタクシーが歩道を、かすめて曲がって行ったりしたこともあった。

そのひとの場合は、それはそれとはっきりわかるわけではなく、ただ、ぼんやりと気持ち悪かったり、体の具合が悪くなったりするのだそうだが、夢でみた場面が、そのまま現実になることもあったという。

先日、そういう能力を持つひとの展示をしたギャラリーを通りかかって、なりゆきで、そんな話をしていたら、「あなたのそばに、そういう人が多いのは、守られているということです」と言われた。

それはありがたいことかもしれないが、あたしはただのひとで、ひとを超える能力や霊感、お告げのたぐいとはまるで縁がない。いわば鈍感きわまりない凡人なのだが、どういうわけか、今朝からずっと胸のあたりが痛む。

それは、肋間神経痛かあるいは狭心症か、と病名ばかり思いつくのだが、いや、これはストレス性のもので、この長い人生の越し方のなかで、胸の奥の方にずっと閉じ込めてきたあれこれが、今、反乱を起こしているのか、と思ったりもする。

しかし、もしも、これがなにかしらの超能力、虫の知らせのようなものだとしたら、それはよいものではないような気がする。

懐かしいなにかを失うのか?そんな予感なのか?と、不安になる。寒さのなかでこころと身体が縮み込んでいる。

ああ、胸が痛い。

読んでくださってありがとうございます😊 また読んでいただければ、幸いです❣️