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そんな日の東京アーカイブ 門前仲町

清澄庭園の東屋には先客が居た。昼食を済ませたらしい老夫婦はデザートのバナナを半分こして食べていた。

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「おじゃまします」と声をかけると「どうぞどうそ」という。こちらも持参のお茶を口にする。

呑み終えると知らないうちに「良いお日和ですね」と言っていた。

「そうねえ、風もなくてね」とおばあさんがおじいさんのほうを見ながら言う。「おお、おお」とおじいさんも言う。

東屋の陰から日向を見る。池を水鳥が進んでいく。真上から照る日が松の木の影を池に落とす。

のびのびとした気分になる。「ここも東京なんですもんね」と言うとふたりも頷く。

「浜離宮もいいねえ」とおじいさん。「ここのもいいけど。あそこの松は別格、殿様の松だね」

「六義園もいいわよ」とおばあさん。「ここははじめてだけどね」

それぞれの言葉がみどりのなかにとろりと溶けていくような気がした。

この庭園には猫もいる。カメラを向けると逃げ出そうとするので、

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にゃおんと甘えて鳴いてみると、しょうがねえなあというふうにポーズを取ってくれた。

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庭園の前の通りにいたねこはこんなふうに寄ってきてくれたのだった。

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この界隈の猫さんたちは堂に入っている。ひとがいて猫がいるのだ。ここいらの暮らしがふっと浮かんでくるようだ。なかなかに面白いところのように思う。

深川資料館と現代美術館へも足を伸ばした。

ピカソ通りというピンクの幟がたっている道中で見つけて、おっ!と一瞬足を止めたもの。

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年季はいってるなあ。この褪せた色のあわあわとしか感じがせつない。マネキンも長くなると魂が宿るような気がしてくる。

そして、ひときわ目を引くのは

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「変えるなら奥さんよりも壁の色」だって。上塗りするのは恥じよりペンキ、とかもありかな。

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下町ルールがあるようだ。くせが悪い方は自分がそうであると自覚しているものなのかな。周りの人間が判断するのかな。

くせの悪さの基準とか指標は、他人の迷惑ってことだろうな。飲んでも飲まれるな、みんな、楽しくやろうぜってことかな。


美術館ではそれはもうたくさんのピカソを拝見した。ピカソを見ながら鯉を思い出した。女の顔だったか頭だったかの塑像に色といいかたちといい、なんだかもうもう言うに言われぬ雰囲気が似ているのだった。

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